Chromebook(クロームブック)とはChrome OSを搭載したノートパソコンのこと
Chromebookはよくも悪くも現代のパソコン界の中では特殊な機種です。
早い話、Chromebookは低スペックでも動作は遅くなりにくいという特性があるのです。
これは機種代が少し安上がりになることを意味しますが、それなりのデメリットもあります。
デメリットを理解しないままChromebookを買うと後悔しますので、わかりやすく解説していきます。
Chromebookは低スペックでも使えるがデメリットもある【サブ機におすすめ】
そもそもChromebookはいくつものメーカーによって生産されているノートパソコンの機種名であり、特定メーカーだけの機種名ではありません。
そんなChromebookに搭載されているOS(基本ソフト)はChrome OSといってGoogleが開発しました。
OSの開発者 | そのOSを搭載するPCメーカー | OSだけの価格 | |
Windows | Microsoft | さまざま | 1万円台 |
macOS | Apple | Appleのみ | OSだけの販売はない |
Chrome OS | さまざま | 格安~無料 |
Windowsが世界の多数派

日本のPC用OSシェア
その3つのOSのうちシェアや対応ソフト数はWindowsが飛びぬけて高いものとなっています。
これはMicrosoftが90年代にWindows95の開発と販売に大成功したように先行者として発展していたことが大きいです。
Windows搭載パソコンについて、上の表でいう低性能にあてはまるCeleronやPentiumといったCPU、メモリ4GBで動かすと速度は遅いです。

Windowsは重い基本ソフトであるため、Windows搭載のパソコンを快適に動かすには標準以上のCPUとメモリが必要なのです(ストレージはHDDよりSSDがいい)。
それゆえWindows搭載パソコンの最低スペックは、Core i3、メモリ8GB、SSD128GBをおすすめするというわけ。
Chromeのメリット
一方、PC用OSの後発者であるGoogleは、Windowsとは差別化したOSを開発しました。それがChrome OSです。
Chrome OSはWindowsよりも軽いソフトであるため低性能のパソコンでもそれなりに快適に動きます。
しかもGoogleはChrome OSを低価格~無料で配布していますから、パソコンメーカーとしてもChrome OSを搭載したパソコン(=Chromebook)は安くつくれるのです。
GoogleがChrome OSを安く提供するのは、ChromebookはGoogleを積極的に使う仕組みになっているため安い提供によってChrome OSユーザーが増えればGoogleに入る収益も増えるからです。
世界シェアとセキュリティの違い
Windowsは世界シェアで圧倒的な1位だけあって、インターネットでは悪人から狙われやすいです。
Microsoftはそれを百も承知しているため、かなりの労力をかけてWindowsのセキュリティを上げています。
しかし、それがWindowsを重くしてしまっている面もあります(=Windowsを快適に動かすには標準スペックが必要)。
一方、Chrome OSはPC用OSとしては後発でありWindowsほどの世界シェアがないため悪人から狙われにくいです。
またGoogleはWindowsに対抗心を燃やして、OSの軽さとセキュリティの高さを重視しています。
Chromebookは安くてセキュリティが高いため日本の小中高でも採用されやすいというわけ。

Chromebookのデメリット
Chromebookにはデメリットもいくつかあります。
そもそもChromebookはCPUとメモリはもちろん、ストレージも低スペックである場合が多いです。
ストレージとは文書や画像といったファイルを長期的に保存する装置のこと。
Chromebookはストレージが少ないですからパソコン自体にデータを保存できる量が限られており、ネット環境およびオンラインストレージを利用する割合が高まるのです。

オンラインストレージの仕組みはいわゆる「クラウド」であり、自分のパソコンに保存せずインターネット経由で企業の設備を利用するところに特徴があります。
オンラインストレージは無料で利用できる部分もありますが、出し入れにちょっと時間がかかる場合もあります。
ストレージが少ない以上、Chromebookは大容量のソフトをインストールして使うことに向いていないといえます。
Chromebookの中にはストレージがそれなりに多い機種もあります。
ストレージは256GBが標準的ですから、64~128GBだったら少ないと判断しましょう。

Googleは「Googleドキュメント(文書作成サイト)」「Googleスプレッドシート(表計算ソフト)」「Google スライド(プレゼンソフト)」なども無料で提供しています。
これも利用するには基本的にインターネット環境が必要ですが、オフラインでできることもあります。
対応するソフトとウェブサイトに注意
ChromebookにおいてはGoogle Playストアで手に入る約100万ものAndroidアプリが利用可能。
しかしChromebookは、Windowsでは利用できるような無料や有料のソフトが使えない場合も多いです。
これはChrome OSがいけないというより、各ソフトの開発者とすればソフトをWindowsとChrome OSの両方に対応させるよりも、シェアNo.1のWindowsだけに合わせたほうが楽だから。
要するに、あなたがパソコンを手にしたときに使いたいソフトがあって、それがChrome OSに対応していないのならChromebookを買うべきでないのです。



ブラウザとしてのChromeではなく、OS欄にChrome OSがないとChromebookは使えない
Chromebookをサブ機として導入してもバランスがいいのは、ソフトの対応数が多いWindowsパソコンをすでにもっている人です。
動画編集や音楽制作には向かない
Chromebookは低スペックが基本であり、対応ソフトが少ないです。
したがって、快適に動かすのにハイスペックを要する動画編集や音楽制作には向いていません。
簡単な動画編集や音楽制作ならできますが、本格派向けは厳しいです。
自動更新ポリシーという壁
Chromebookで厄介なのは「自動更新ポリシー」があること。自動更新ポリシーとはChrome OSについてGoogleによるサポート期限を意味します。
たとえば自動更新ポリシーが「2029年6月まで」の機種の場合、2029年6月までは自動でChrome OSが更新されますが、そこを過ぎるとサポートされなくなるのです。
当然、自動更新ポリシーを過ぎた状態で使うのはセキュリティ面で危ないです。新たに発見されたバグやウイルスに対応されなくなるからです。
自動更新ポリシーが過ぎたChromebookはセキュリティ面で危ないというだけで使用は一応できますけどね。
自動更新ポリシーの延長はありません。
とくにChrome OSbookはストレージが小さいですから、オンラインのソフトやストレージを使いやすいです。
ウイルスはおもにオンライン経由で入ってきますから期限切れのChromebookは警戒せざるを得ません。


自動更新ポリシーが切れたあとは別のOSを入れて使うという見込みのもとにChromebookを買うのなら、CPUはインテルのCore iシリーズ、メモリは8GB以上がおすすめ。これはWindowsパソコンでいう標準スペック。
自動更新ポリシーの期限切れ後は使いそうもないのなら、CPUはCeleronやPentiumといった低価格・低性能でもいいでしょう。
自動更新ポリシーを考える際は、ノートパソコンの寿命も考えよう
一般に高頻度で使うノートパソコンは3~5年くらいで物理的に壊れます。
物理的に壊れるとは、ケーブルが断線する、バッテリーが使えなくなる、電源やストレージやコンデンサが寿命を迎えるなど。
ノートPCを高頻度で使う人にとっては、Chromebookが自動更新ポリシー期限前のタイミングで壊れそうで、その後は修理して使い続けないのであれば自動更新ポリシーを気にする意味がなくなります。
ノートパソコンの修理代は1~6万円くらいかかりますから、修理して使い続けるよりも新品に買い替えるほうが合理的な場合があるのです。


Windowsとは配列および操作がちょっと違う

Windowsのキーボード

Chromebookのキーボード配列
もし職場のパソコンがWindowsで、Chromebookを買うという人はキーボードや操作の違いに少し戸惑うかもしれません。
Chromebookとメリットとデメリットのまとめ
Chromebookのメリット
- ネット閲覧くらいなら低スペックでも速く動作しやすい
- Chromebookは低スペック~標準スペックだから価格も安い(LTE対応モデルだと高くなる)
- 低スペックなら消費電力も少なめだからバッテリー駆動時間も長め
- Google Playストアで手に入る約100万ものAndroidアプリが利用可能
- セキュリティが高い(悪人から狙われにくいし、ネット接続によってChrome OSのセキュリティは自動更新される)
- 費用負担が軽いしセキュリティも高いから小中高での採用率が高い
Chromebookのデメリット
- ストレージが少ない場合が多い
- Androidアプリの対応数は多いが、Windows系ソフトの対応率は低い
- GoogleのオンラインサービスはMicrosoft Officeと互換性が一応あるが、完全なる互換性ではない
- マウスやキーボードといった周辺機器がChrome OSに対応していない場合がある
- 高度なクリエイターソフトやゲームをやるのに向かない(簡単なものならできる)
- 使用にはインターネット接続が前提になりやすい(オフラインでは使いにくいし、Google1社に依存しやすい)
- Chromebook関連のトラブル対応やテクニック系のオンライン情報はWindowsに比べると少ない
- キーボード配列はWindowsと少し違う(アルファベットの配列は同じ)
- 自動更新ポリシーがある(実はセキュリティに危うさもある)
Chromebookはこんな人におすすめ
- 使いたいソフトがとくにない人
- 使いたいソフトがChrome OSに対応している人
- Androidアプリをパソコンでやりたい人
- ブロガーやライター
- ネット検索、動画視聴、SNS閲覧などが主目的の人
- 小中高生
- 高齢者
- 高頻度で使う人(頻繁な使用によって自動更新ポリシー前に壊れそうな人)
- 主力PCとしてWindowsパソコンをもっていて、そのサブ機として導入する人
ゲームについてはAndroidアプリで満足できるのなら、Chromebookを買うのもありです。
逆におすすめできないユーザー層は以下のとおり。
- 大学生(グループワークでのファイル共有や、就職活動のテストはWindowsのほうが対応しやすい)
- OfficeソフトはMicrosoft Office以外はダメな人(GoogleのオンラインサービスとMicrosoft Officeは互換性はあるが完全ではない)
- Windowsでないとできないソフトを使う人(とくにフリーソフトはWindows対応が多い)
- 本格派の動画編集者やゲーマーなどハイスペックが必要なユーザー
- 短期投資をやる人(証券会社のトレーディングツールの対応率が悪い)
Chromebookをつくっているメーカー一覧
- レノボ
- HP
- ASUS
- acer
- 富士通
↑Chromebookが普通に買えるメーカー、↓Chromebookは教育機関向けにのみ生産・販売するのであって一般向けに販売しないメーカー
- DELL
- NEC
Chromebookを買うときは自動更新ポリシーをチェックしましょう。
Amazonだと書いていないChromebookがありますが、Google公式サイトには掲載されています。
タイミングにもよりますが、Amazonのほうがスペックの割に安い傾向があります。
