
電力線のごとく街中に光ファイバーを張り巡らせ、それを屋内に引き込んで使うのが光回線
今回は光回線の工事に関して、申し込んでからいつ使えるのか、工事の内容、費用、回数、立ち会う必要性などを解説します。
光回線は有線のインターネット回線であり、自宅近くから光ファイバーというケーブルを住居内に引き込んでこそ使えますから、最初に工事が必要になりやすいです。
一部のマンションやアパートでは最初から光回線が設置済みの物件もありますけどね。

光回線の仕組み
光回線工事の要点
- 最初に工事が必要な場合は多い
- 工事のときはその家の成人が立ち会う(要所をチェックするだけ)
- 工事の日・時間帯は平日の9時~17時が基本(土日祝日や夜間は割増料金)
- 工事当日の作業時間は30分~2時間が目安
- 工事当日の所要時間は一戸建てよりマンションのほうが短い
- 申し込んでから開通までに2週間~3か月かかる(繁忙期は時間がかかる)
- 工事が終わったらすぐにネットが使えるのが基本
- 工事回数は1回が基本(例外的にNURO光は2回)
- 工事費は1.5万~4万円くらいだが、工事費の割引キャンペーンがよくある
- 光回線を短期で解約すると、工事費の割引は少ないし、工事費を全額支払う必要がある
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光回線の派遣工事【費用や期間を解説】
申し込み~工事~利用開始までの流れ
- 光回線を申し込む(工事の必要性判断と工事業者の手配はその光回線業者がやってくれる)
- (住所や物件によっては工事ができるかどうか事前に現地調査が行われる場合あり)
- 業者との相談で工事日程を選ぶ(土日祝日や夜間は割増料金になりやすい)
- 契約に必要な書類や通信機器が送られてくる
- 工事開始まで待つ
- 工事を1回やると開通する(NURO光は例外的に2回)
- ユーザーが端末やルーターについて接続の設定をするとインターネットが使えるようになる
光回線の工事に関してまずおさえておくべきは、光回線は大別すると4種類あり、フレッツ光と光コラボ、独自回線と電力系回線はそれぞれ似ていること。
工事の事情は2パターンある
光コラボ(光コラボレーション)とはNTT東西以外の事業者がNTT東西のフレッツ光回線を借りて光回線サービスを提供することです。
そのため、フレッツ光と光コラボは工事に関しても事情が似ているのです。
工事の特徴
- フレッツ光と光コラボの工事面での特徴
工事回数は1回のみ。申し込んでから開通までに2週間~2か月かかる。撤去費がかかるとしたら0~2万円。
- 独自回線と電力系回線の工事面での特徴
工事回数は1回(一部の業者は2回)。申し込んでから開通までに3週間~3か月かかる。撤去費がかかるとしたら2~3万円。
撤去費は賃貸物件で原状回復をもとめられたときに発生しやすい費用です。
撤去費はユーザーが光回線業者に撤去をお願いしたときにかかります。
工事回数が2回の業者は通常よりも速度が高規格で、工事の範囲は2回の工事でそれぞれ別々の箇所を受け持つため工事は2回あるのです。
工事前の現地調査
事前の現地調査は業者の判断によって行われる場合があります。これは工事ができるかどうかを調査するため。
この現地調査は申し込み世帯の人の立ち会いを必要とします。
現地調査の時間は90分 ~ 150分くらい。
光回線業者が手配するのは電気系の工事ですが、その現地調査の結果によってはもっと別の工事業者を手配して工事する必要が出てくることもあります。
工事業者の種類
- 電気・通信工事業者
ネット回線系の工事を扱うのはこのタイプの事業者。配線系を専門的に行うイメージ。大多数の世帯はこの事業者だけで間に合う。
- 土木工事業者
敷地がかなり広い場合、光ファイバーを引くには敷地途中で垂れ下がらないように私設電柱を建てる必要があり、その際に使う可能性あり。地中化や地形に対処する際に使う。
電気・通信工事と土木工事の両方に対応している事業者もあります。
派遣工事とは
光回線の工事は派遣工事と無派遣工事の2種類があります。
派遣工事とは工事の担当者が依頼人の住居に派遣されて行う工事のこと。
派遣工事が必要となる世帯
- その住宅内に光ファイバーが引き込まれていない
- その住宅内に光コンセントが設置されていない
一見するとすでに自宅には光回線設備があっても、内部が老朽化していたり古い規格だと更新工事が必要になることもあります。
光コンセントとは

光コンセント
光コンセントとは屋内に引き込んだ光ファイバーを壁付近に固定して住人にとって使いやすくしたインターネット使用向けコンセントのこと。
光コンセントは光回線1契約につき1つだけ設置します。
光コンセントの設置場所
光コンセントの設置場所は以下のどれかが多いです。
- 固定電話の近く
電話線と配管を共有しやすい以上、光コンセントも設置しやすい
- エアコンの近く
光ファイバーはエアコンの配管経由でも引き込める
- 居間(リビングルーム)のコンセントの近く
パソコンやテレビでインターネットをよく見る部屋なのであれば相性よし
- 家の中心部
無線LANルーターの電波は球状に飛ぶから家の中心部付近に置くのもいい
- 仕事部屋や書斎
パソコンを置く部屋として典型的
2階建て住宅の場合、光コンセントの設置は1階でも2階でも大丈夫ですよ。
派遣工事の内容・流れ

光回線工事の高所作業車

電信柱にはクロージャ(端子函)があり、その中には分岐・配線装置がある。

その電信柱付近と各住居の外壁をつなぐケーブル

外壁には既存の配管とともに取り付けられやすい
派遣工事の流れ・内容は以下のとおり。
- 作業員は高所作業車を使って住居近くの電信柱のクロージャを開けて、その家に取り付ける光ファイバーと接続する
- その光ファイバーを住居の外壁に固定する
- その光ファイバーを外壁の配管などを経由して屋内に引き込む
- 屋内の壁面部に光コンセントとONUを設置する
- 作業員は回線をチェックして作業終了

光回線のルーターとONU
光回線の派遣工事でその家の立ち会い人は派遣工事の手伝いをしたり、常に業者をじっと監視する必要はありません。
業者が無人の中でずっと勝手に工事をするわけにはいかないので、立ち会い人は要所要所をチェックするだけのことです。
光ファイバーを住居内に入れる際は外壁に少しの穴をあける可能性も少しありえます。
さらに光コンセントを宅内のどこに設置するかも工事担当者と話すべきところ。
住居の外壁に穴はあくのか
光ファイバーを自宅内に取り込む際は以下の4つのどれかの方法をとります。
- 電話線の配管を共有する(主流の方法)
- エアコンのダクトを利用する(最近はあまり見ない方法)
- ドアや窓の隙間を利用する
- 壁に小さな穴をあける(最終手段)
以上のうちどの方法をとるかは工事業者が判断し、立ち会う人と話し合って決めます。
壁に穴をあける方法は後回しに検討する方法であって、まず優先するのは壁に穴をあけない方法です。

もし壁に穴を貫通させる場合は建築用テープで隙間をふさぐなどして虫が入ってこないように配慮してくれます。
エアコンダクト経由で工事する例は少なめだが
ちなみにエアコンダクト経由で光ファイバーを設置したあとに、そのエアコンダクト付近を工事しようとエアコン工事業者に頼むと「光ファイバー周りの工事は光ファイバーを担当する工事業者に光ファイバーを外してもらってからにしてください」と返されやすいです。
これはあまり起きない事例ですが、一応記しておきます。

スッキリポールで地中配線もできる
上記はPanasonicのスッキリポールという商品。
ケーブル類はこの内部を経由させると個人宅内で地中配線もできます。
参考記事
自分で工事するのはダメな理由
光ファイバーというのは基本的にNTTの所有物ですから、そこを工事するのはNTTから委託された電気工事業者でなければなりません。
たとえばNTT東日本のフレッツ光ならNTT東日本の社員が工事をするわけではなく、NTT東日本が委託した工事業者が請け負います。
もし自分で工事をするなど指定の業者以外が電信柱や光ファイバーに手をつけると違法行為になってしまいますし、災害や故障時の保証対象外にもなってしまいます。

光回線の仕組み
光回線の工事において電信柱からONUまでは工事業者の責任、ONUから各端末の配線は各世帯が自由にできます。
最近ではONUが無線LANルーターを兼ねている場合もありますよ。

無派遣工事とは
一方、無派遣工事とは現地に担当者を派遣しない工事のこと。
無派遣工事だけで済む世帯はすでに光回線の設備が整っているため、光回線事業者側の調整だけで終わります。
無派遣工事の申し込みから開通までの目安は数日~10日。
無派遣工事では家の人は立ち会う必要はありません。
無派遣工事だけでいい家とは
- その住宅内に光ファイバーが引き込まれている
- その住宅内に光コンセントが設置されている
- 更新工事の必要がない
独自回線や電力系回線は主流のフレッツ光や光コラボという光回線とは設備が違います。
そのため、現状でフレッツ光や光コラボの設備がある家が独自回線や電力系回線に変えるには工事が必要です。
※たとえば最大速度が1Gbpsから10Gbpsの高速プランへと変える場合は高速仕様の設備へと変える必要があります。
光回線はいつから使える:繁忙期は待つ
閑散期に申し込んだら いつ使える?(一戸建て) |
繁忙期に申し込んだら いつから使える?(一戸建て) |
|
フレッツ光 光コラボ |
2~3週間後 | 1~2か月後 |
電力系回線 独自回線 |
1~2か月後 | 2~3か月後 |
光回線の工事を申し込んでから実際に工事が始まるまでは2週間~2カ月くらいの時間をおきます。
光回線の工事日程は業者との相談によって決まります。
毎年4月あたりは日本人にとって新生活が始まる時期ということで工事申し込みが混雑します(その準備は3月から)。
次に12~1月という年末年始は年月の節目であり、普段は忙しい人も自宅にいる率が高いということで3~4月に準ずるレベルで申し込みが混雑します。
工事開始を早める方法はない
たとえばA地域ではフレッツ光や光コラボの工事担当はB事業者、同じくA地域のNURO光の工事担当はC事業者という感じで光回線の工事担当は種類と地域ごとに決まっています。
そのため、同じ種類の光回線の工事業者は結局同じになるため工事開始時期も変わりません。
それでも工事開始を早くしてもらうには「一番早い工事日程がいいです」と伝えるくらいしかありません。
派遣工事の所要時間
派遣工事にかかる時間は1戸建て住宅で40分~2時間、マンションなら30分~1時間30分が目安。
マンションより一戸建て住宅、フレッツ光や光コラボより独自回線や電力系回線のほうが時間は少し長くかかりやすいです。
ただし、光ファイバーが地中埋設の地区だったり、電信柱から住居までの配線途中に何か障害物がある場合はそれよりも時間がかかったりします。
派遣工事を行う時間帯
光回線の派遣工事を行う時間帯は平日の9時~17時。
光回線の工事費用は土日祝日や夜間、年末年始のタイミングでは工事費は「通常料金+3000〜8000円」くらいの割り増し料金になりやすいです。
夜間工事は対応していない業者もあります。
派遣工事の工事費一覧
おもに一戸建て向け | おもにマンション向け | |
フレッツ光 | 11660~22000円 | 11660~22000円 |
ドコモ光 | 19800~22000円 | 16500円 |
ソフトバンク光 | 10560~31680円 | 10560~26400円 |
GMOとくとくBB | 26400円 | 25300円 |
楽天ひかり | 8360~22000円 | 16500~22000円 |
以上はフレッツ光・光コラボ系の光回線 以下は独自回線・電力系回線 |
||
NURO光 | 44000円 | 44000円 |
auひかり | 41250円 | 33000円 |
eo光 | 29700円 | 29700円 |
コミュファ光 | 20000〜45000円 | 15000〜45000円 |
メガ・エッグ光 | 41800円 | 23100~41800円 |
ピカラ光 | 27500円 | 27500円 |
ビビック光 | 39600円 | 39600円 |
工事費の支払い方法は一括払いor分割払いとなっています。
- 一括払い
工事が行われた翌月などに工事費用を一括で支払う
- 分割払い
工事費を分割して毎月の料金とともに支払う
工事費の見積りはとれる
工事費の見積りはどの光回線でも事前に取れます。
業者から口頭で説明してもらうこともできますし、メールでもやり取りはできます。
工事費割引の条件:長期なら大きい
光回線の工事費は「ウチの光回線に変えてくれたら工事費を大きく割引するよ」という感じで割引キャンペーンがよくあります。
工事費の割引キャンペーンは一定期間にわたって光回線を契約し続けているほど恩恵が大きくなりやすいです。
それとは逆に光回線を短期で解約しようとするときに、工事費をまだ支払い終わっていないと、その支払い終わっていない工事費部分をまとめて請求されるからです。
これを工事費残債の一括請求といいます。
マンションのほうが一戸建てプランより工事費用が安い理由
一戸建てプランでは住居近くの電信柱から光ファイバーを引き込む必要があります。
これに対してマンションプランは電信柱から引き込んだ光ファイバーはまずマンション内の共用設備に集約され、そこから各部屋へ供給する体制になっています。
したがって、マンションは光回線の共用設備さえ整っていればそこからの工事は簡素になりやすいのです。
部屋が汚いけど工事は大丈夫?
光回線の派遣工事では業者がその宅内にお邪魔して外壁から光ファイバーを取り込み光コンセントを設置します。
そのため、中には「部屋が汚れているのに大丈夫かな」と心配する人がいます。
結論から申し上げますと、よほど散らかっていない限りを選んだ場合でも工事は可能です。
具体的には光コンセントを設置する場所付近について作業員の作業スペースと工具を置くスペースなどが確保されていれば大丈夫。
作業員に対して恥ずかしい思いはあるでしょうが、作業員はいくつもの家で工事を経験していますから少し部屋が汚くてもいちいち気にしません。
見られたくないモノがあるなら何かシートを被せておけば大丈夫でしょう。