総務省の2020年統計によると日本における個人のインターネット利用率は83.4%、そして2017年度における日本の世帯ごとのパソコン保有率は72.5%、スマホ保有率は75.1%となっています。
感覚的にも日本の学校や職場を見渡すとパソコンやインターネットはかなり普及しています。
そこで今回はインターネットがなぜ急速に普及(発達)したか、理由を解説していきます。
結論から申し上げますと以下の4つが理由でございます。
- コストの下落(パソコンやインターネット回線の価格が下がればインターネットユーザーが増えて回線整備の要求を出す)
- 操作の容易化(端末やインターネットの操作が簡単になればインターネットユーザーが増える)
- コンテンツの充実(魅力的なコンテンツが増えるとインターネットをやりたがる人が増える)
- 日本人はパソコンやスマホを買えるだけの購買力と、インターネット回線を整備できるだけの経済水準があった
コンテンツの充実においては男性諸氏が好きな「ムフフ」も絡んでいます。

目次
インターネットが普及した理由と簡単な歴史【スマホやパソコンも関連】
そもそもインターネットの原型はARPANET(アーパネット)というアメリカ国防総省が1980年代に開発した軍事通信であり、学術目的にも使われていました。
その後、インターネットは世界的な商業化の波に乗って大きく発展することになります。
年代 | 日本におけるインターネットのおもな普及層 | IT関連の出来事 |
1980年代 | (パソコン通信の時代) | ワールド・ワイド・ウェブの誕生 |
1990年代(Windows95登場前) | (パソコン通信の時代) | 世界最古のWebページ公開(1993年) Linux登場 |
1990年代 Windows95からインターネット普及 |
法人、オタク層、一部の家庭 | Windows95登場に伴うPC普及 ITバブル 家電量販店の躍進 ガラケーやPHSの普及 ADSLの開始(1999年) |
2000年代 | 多くの家庭やスマホユーザー | 家庭用光回線の開始(2003年) スマホ普及(登場自体は90年代) 中韓台の部品メーカーの躍進 国産PCメーカーの撤退や統合 iPhone登場 |
2010年代 | 街中や公的施設にフリーWi-Fiが普及 | SNSの普及 GAFAMが勢力拡大 |
2020年代 | Web3.0時代? |
※ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)とはインターネットのページが相互に接続されていて、共有、閲覧、検索しやすくなっている体系のこと。
要するに人々がオンラインでつながるのを効率化したシステムだとお考えください。
現在でこそ日本人の多くはパソコンやスマホを通じてインターネットを気軽に楽しんでいますが、1980~1990年代半ばまでのパソコンはすごくとっつきにくいものでした。

MS-DOSの画面
1995年あたりまではスマホはもちろんガラケーもほとんど普及しておらず、パソコンを起動させると上記のような画面が出てきました。
MS-DOSはコマンドによってすすめる操作が難しいパソコンであり、ゲームのグラフィックもかなりしょぼいものでした。
このころのパソコンで一部の技術者や学生たちは「パソコン通信」といって仲間内だけで情報交換やコミュニケーションを行っていました。
パソコン通信は電話回線によって仲間内だけでやり取りする閉鎖的な仕組みであり、コンテンツ自体も小難しいデータベースやニュースなど一般人にとって興味を大きく引くものではありませんでした。


本来インターネットは情報機器を通じて世界中の人々とたがいにつながることができるオープンな体系を意味します。
Windows95によってパソコンやソフトの発達が加速した
正直言ってMS-DOSは難しいうえに文字だらけで初心者にとっては非常にとっつきにくいパソコンでした。

Windows10のトップ画面とアイコン
しかし、Windows95というOS(基本ソフト)が1995年に登場してからは上記に似たアイコンが数多く登場するなど操作が格段にわかりやすくなりました。
この類のアイコンはそれ以前から一応ありました。
このようにコンピュータに出す命令や指示についてユーザーがアイコンやボタンなどを通じて視覚でわかりやすくとらえる体系をGUI(グラフィカルユーザインタフェース)といいます。スマホのアイコンもそう。
それまで個人レベルだと一部のマニアしか保有していなかったパソコンは、Windows95の登場を境に大衆化していったといえます。
機械は「便利」「操作が簡単」「価格が手ごろ」という条件がそろうほど普及しやすいのです。
パソコンの普及にはUNIXやLinuxというOSも関わっています。
UNIXというソフトおよびそれが動作するコンピュータは1990年ごろの時点で数百万円はするなど一部の業務用でしかなく、さまざまな法人が独自に使っていました。UNIXのライセンス料もかなり高い水準でした。
しかし、一部の技術者はUNIXにならってLinuxというOSを公開しました。Linuxは便利でありながらも、だれにでも自由に利用できるものでした。
Linuxの登場を機にコンピュータソフトも大きく発展したのです。
コンテンツ発達が普及を後押しした
Windows95によってパソコンの操作は簡単になりグラフィックは上がりました。
それに少し遅れる形でインターネット回線も普及していきました。
そうなると世の中のインターネットユーザーとしてはインターネット空間におけるコンテンツの充実化をもとめます。
世界中の企業としてもインターネットに商機をもとめ始めました。
つまり「コンテンツの発達」⇒「その発達したコンテンツを見たがる人が増える」⇒「住所付近にインターネット回線が整備されていない人はオレの住所付近にもインターネット回線を整備してとNTTや政府にもとめる」⇒「インターネットユーザーが増えると、インターネットビジネスを展開する企業が増える」という循環でございます。
インターネットは24時間にわたって好きなタイミングで好きなコンテンツを閲覧できますから、どこの地域でも人々がインターネットを使いたがるのは当たり前です。
日本の電話回線や光回線を整備したのはおもにNTTです。現在では光回線事業の運営は「光コラボ」といってNTT以外の事業者にも広く開放されています。
検索エンジンの広告ビジネスがコンテンツを発達させた
現在ではサイト運営は個人でも割と簡単にできるため個人ブログも増えました。まあ個人がブログ運営で大きな収益を出すのは大変ですけどね。
ちなみにライブドア事件で有名な堀江貴文さん(ホリエモン)が東京大学を中退してオン・ザ・エッヂというインターネットビジネス企業を設立したのは1996年です。
ホリエモンさんは先見の明があったということでしょう。
あの有名なヤフージャパン(ポータルサイト)が登場して上記のようなトップページを示したのも1990年代後半です。
1999年には日本語圏の巨大掲示板として有名な「5ちゃんねる」の前身である「2ちゃんねる」が生まれました。
ただし1990年代後半の電話機は固定電話とガラケーとPHSが主流であり、現在のようなスマホはまだありませんでした。


あなたもインターネットコンテンツの充実にかかわっている
この記事を読んでいる人の中には「オレは記事を読んだり動画を見ているばかりで配信者じゃないからコンテンツの充実には関係ない」と思っている人がいるでしょう。
しかし、インターネットユーザーは5ちゃんねるのような掲示板やヤフコメのような一般人の反応も見たがります。掲示板やヤフコメへの投稿はだれでも簡単にできます。
ヤフコメには汚いコメントもたくさんあるのに全廃されないのは、もしヤフコメがなくなるとヤフーニュースを見る人も減ってしまうから。
つまり、インターネットコンテンツの充実は思ったよりも多くの人がかかわっているわけです。
新聞や書籍類が衰退したのはインターネットの普及が原因か
- 新聞やテレビの社会ニュース
インターネットなら無料で見られる(有料部分もある)
- スポーツニュース
地上波テレビが放映しない試合でも無料で途中経過がわかる
- 各種スポーツや趣味系のメディア
ほとんど無料で見らえる
- 天気
インターネットなら最新の天気予報が細かい地域ごとにすぐわかる
- 地図
Googleマップなら更新もしてくれる(道路やお店が変わったらやがてGoogleマップは更新されるから地図帳のように買い替えなくていい)
インターネットの回線料金は光回線の場合は1か月につき5000円前後が基本。
新聞の購読料は1か月につき4000円前後、雑誌や地図帳などは1冊あたり1000円前後です。
どう考えてもインターネットのほうがコスパが高いですから、新聞や書籍類が衰退してインターネットが伸びたというわけ。
NHKの受信料が批判されるのも1年間で1万円以上もかかるうえにインターネットの無料動画があまりにも充実してきたからです。
コンテンツの「むふふ」や出会い系は普及に貢献した
さて、1990年代のコンビニエンスストアやレンタルビデオ店ではあそこ関連のメディアがたくさん並んでいました。もちろん有料です。
しかし、現在ではコンビニやレンタルDVD店のあそこ関連の売り場は縮小する一方。
これもインターネットではあそこ関連の画像や動画を安く大量に見ることができるから。
とくに日本だと表向きは規制がうるさいですが、インターネット空間では海外サーバーを経由して修正なしのあそこが大量にアップされています。
80年代からのビデオデッキ普及にはあそこを見たい人が、90年代からの携帯電話普及には出会い系をやりたい人が大きく貢献したようにあそこ関連のパワーはすごいんです。
具体的な「むふふ」画像を示すとGoogleから処分されてしまうため出せません。
価格が下がったことでパソコンが普及した
1990年代後半においてインターネットにアクセスする際の端末はパソコンがほとんどでした。
1990年代のパソコンは現代の主流スペックに比べると格段に性能が低いにもかかわらず20万円はくだらないシロモノでした。
しかし、1990年代後半からはパソコンの部品生産や組み立ては中国、台湾、韓国といった人件費の安かった国に拠点が移りました。
※1990年代前半までは「冷戦」という国際問題があったため、中国、台湾、韓国の発展は遅れていました。
※1990年代はパソコンのソフトウェアも主要部品も規格が共通化し、規格の共通化がすすんだことにより価格は下がりました。
新興国での生産によって日本の産業は空洞化したものの、パソコンの価格は性能の割に下がったため日本の一般人としてはパソコンを所有しやすくなったのです。
「サーバー」と呼ばれると業務用のインターネット向けコンピュータも価格は性能の割に下がっていきました。
現代におけるAppleのiPhoneなんか中国で組み立てていても新品は10万円とかしますから、賃金の高い国でつくったらもっと高い価格になっていたはず。
- 価格を考慮した性能の差
現代における標準スペックパソコン(数万円)>>>90年代の標準スペックパソコン(30万円)>>>>>アポロ11号による月面着陸のときのアメリカの宇宙用コンピュータ(たぶん数百億円)
ノートパソコンの小型化も普及につながった
1990年代からはノートパソコンが積極的に開発され、それは現代に至るまで薄型化されました。
ノートパソコンは薄型化されたためにビジネスマンや大学生はノートパソコンを持ち歩きやすくなったために普及したというわけ。
デスクトップも性能の割にはずいぶん小型化しました。
現代の日本で家庭やオフィスビルだけでなく街中にもフリーWi-Fiが普及しつつあるのは、スマホやノートパソコンなどモバイル端末からインターネットにアクセスできるようにするためです。
スマホがあればパソコンがなくてもインターネットにアクセスできる
1990年代後半のインターネット回線は現在に比べるとかなり遅いうえに大容量の通信に適していませんでした。
また1990年代後半のガラケーは画像や動画を快適に映し出せるほどの性能がありませんでした。
しかし、1999年あたりからは速くて大容量のインターネット回線が普及し始め、ガラケーでもインターネットにアクセスできるようになりました。
ガラケーは小さくて入力しにくいうえに画面が小さすぎるという欠点があったため、やがてスマートフォンが普及し始めました(スマホの登場自体は90年代)。

スマートフォンの普及によってパソコンをもっていない家庭でもインターネットにアクセスできるようになったのはインターネットの普及にとってかなり大きいです。
ガラケーについて電話機能しか使わない人は大勢いましたが、スマホを買ったのに電話機能しか使わない人なんてほぼ存在しないでしょうから。
21世紀のゲーム市場では濃いゲームオタク向けの難しいゲームではなく手軽にできるソシャゲが増えたのも、スマホ普及によってゲームを手軽にやりたがる層が増えたからです。
巨大IT企業の問題も生まれた
2005年には無料動画のプラットフォームとして有名なYouTubeが運営を開始しました。
インターネットの発達とともに巨大化したGoogle(YouTube運営)、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftといったアメリカ発の企業の存在感は世界経済の中で大きすぎるため、今や独占禁止法のターゲットにまでなっています。
インターネットが普及しない国や層も確実にいる
パソコン、スマホ、インターネット回線を国内に普及させるにはそれなりの経済力が不可欠です。
そのため現代でも発展途上国のインターネット普及率は厳しいものがあります。

またインターネット回線は住人がすごく少ない田舎に整備するのは無理がありますから、そういう田舎の住人は人工衛星経由か村役場にでも出向かなければインターネットにアクセスできません。
それにパソコンやスマホは本体を買ってからもネット回線との接続も含めていくつか設定しないと動きません。
初期設定が終わったとしても更新作業やパスワード入力などもありますから、不慣れなお年寄りにも普及させるのは難しいといえます。

