今回は動画コンテンツの特徴(魅力、強み)、メリット・デメリット(長所・短所)を文字メディアやテレビと比較しながら解説します。
動画コンテンツの代表例としてはYouTubeやTikTok、文字メディアとしてはブログや書籍が挙げられます。
この記事を書いている管理人は政治経済の分野で商業出版経験があります。
YouTubeとテレビの違い【動画の強みとデメリットも】
有名なプラットフォーム (動画投稿サイト) |
YouTube(アメリカ、Google) TikTok(中国、ByteDance) ニコニコ動画(日本、ドワンゴ) Dailymotion(フランス、Dailymotion SA) |

YouTubeでリプレイ回数が最も多い部分(視聴者側のテレビにはない)

パソコンでYouTubeをつけて自動再生で放置すると勝手に止まるがテレビでこんな措置はない(Googleが広告主に無駄に多く広告費を支払わせないための措置)
動画投稿サイト (とくにYouTube) |
日本の地上波テレビ (録画視聴ではなく通常視聴) |
|
基本的な構造 | 個人の自由度が大きい開放構造 | 総務省やテレビ局が縦割りで決めた閉鎖構造 利権と虚飾にまみれたオールドメディア |
元締め | 運営企業(YouTubeならGoogle) | キー局 NHK 総務省 電通 大手事務所 |
人気発信者の干され方 | GoogleからBANされる 検索アルゴリズムの変更 (ヤバい動画や発信者は問題発覚後に消される) |
↑元締めから嫌われる (人気者は事務所のゴリ押しだったりする) (ヤバい企画や発信者は制作段階で選ばれにくい) |
出演者の所属事務所の力 | 弱い | 強い |
よくない動画への審査 | Googleによる審査制度あり | BPOによる審査あり |
発信者に多い属性 | 個人事業主 小規模法人の代表者 サラリーマンの副業 (チャンネルの所有者感が強い) |
テレビ局は社員 NHKは職員 出演者は個人事業主が多い (制作側は雇われが多いからチャンネルの従事者感が強い) |
発信者の報酬体系 | 歩合制に近い | 社員・職員はサラリーマン的な賃金 出演者は事前契約的なギャラ |
発信者になることの難易度 | 端末さえあればだれでもなれる | テレビ局に選ばれた人のみ (局の開設にも免許が必要) |
発信者の退出ハードル (簡単に辞められるか) |
低い(チャンネル自体の売却可能) | 高い |
発信者にとって 動画制作以外に重要なこと |
SEO(検索上位に表示する施策) | コネづくりと下請け酷使 |
具体的な評価・分析指標 | 再生回数 再生時間 リプレイ回数が最も多い部分 1再生あたりの広告収入単価 離脱率 いいねの数 コメント数 チャンネル登録者数 検索順位 被リンク数 SNSシェア数 |
視聴率(個人、世帯) 視聴占拠率 CM離脱率 |
制作側の人数 | 少ない | 下請けを含めて多い |
不祥事の責任 | 投稿者ばかりが責められる | 多くの関係者や業界構造が責められやすい |
総チャンネル数 | かなり多い | 少ない |
強み | 多様性と専門性と自由度の大きさ | 民放は制作にお金とコネが必要なドラマに強みをもつ NHKはスポンサーに配慮する必要がないのが強み |
動画の尺 | 投稿者の自由 (基本的に12時間まで) |
30分や60分などテレビ局が決めた枠 |
動画を見れる時間帯 | いつでも (不定期配信が多い) |
深夜は基本的にお休み (定期配信が多い) |
視聴者と視聴機器の物理的距離 | 近い (個々人のスマホやパソコン主体) |
テレビからは離れがち |
送受信方法 | 固定回線(光回線、CATV回線) 無線で携帯基地局経由 (↑いずれもアップロードも可能) |
テレビ塔⇒アンテナ(強力な電波の一方通行) |
端末以外に受信に必要なもの | ↑のようなインターネット回線 | アンテナ B-CASカード |
サーバー落ち | ある | ない |
一定時間放置すると止まる機能 | ある | ない |
画質 | HD~8K | HD |
ワイプ演出(小窓の出演者) | 少ない (ABEMAみたいなテレビ系だとある) |
多い |
おもな視聴者層 | 若年層~中年 | 高齢者 |
外国人とつながりやすいか 外国語圏の動画を見やすいか |
◎ | × (VODやVPNなどとの契約が必要) |
他の視聴者の反応が見やすいか | ○ (コメント,再生数,いいね数でわかる) |
▲ (Twitterや2chなど他メディアでわかる) |
発リンクをつけやすいか | ◎ | ▲ |
スポンサーとの関係性 | ゆるい (自動広告だから何が流れるかわからない) |
きつい(固定的な広告主がいる) |
動画の専門性 | 専門性は高い (出演者と動画企画のシンクロ率が高い) (支離滅裂な陰謀論や都市伝説には要注意) |
広く浅い (出演者は専門外にも口を挟む) |
好きなタイミングで見やすいか | ◎ | × |
視聴者の熱中度や親近感 | 積極的、能動的 (熱狂的なファンがいる) |
受動的、適当 |
動画内のセリフ検索 | ▲ | × |
倍速や逆再生 | 生配信でなければ可能 | × |
おもな収入源 | 広告 | 広告 |
収益の基本的なビジネスモデル | 普通に流れる動画広告 クリック報酬型 成果報酬型も少しあり 企業案件もあり |
普通に流れる動画広告 |
CMの質 | 怪しい情報商材もある | 怪しい情報商材は流れない |
CMカット | プレミア会員なら可能 | × |
アカウント取得の必要性 | ○ | × |
他チャンネルとのコラボ | 多い | 少ない (系列外の他チャンネルは商売敵) (裏かぶりはNG) |
投げ銭 | ○ | × |
著作権違反 | 多少なら許される雰囲気 (MAD文化がある) (アーティストは過去の名曲を開放している) |
うるさい |
利権 (日本のテレビは電波利権) |
ほとんどない | NHKの受信料制度 世襲やコネ人材の巣窟 総務省の天下り 記者クラブ 特定利権の悪いニュースはスルー 新聞社とのクロスオーナーシップ |
参考:テレビにあってYouTubeにないもの
- 放送免許
- 利権、天下り
- 省庁の強い介入
- 記者クラブ
- B-CASカード
- 24時間ぶっ続けの放送(YouTubeは12時間でいったん切れる)
動画はわかりやすい
次は動画のメリットについて。
動画は、かならずしも投稿者のメリット=視聴者のメリットになるとは限らないところがポイントです。
動画のメリットとしてはわかりやすさが挙げられます。これは以下の例を見ても明らか。
- 将棋の棋譜(視覚的にわかりやすい)
- スポーツの技術解説(視覚的にわかりやすい)
- 英語の発音(音声的にわかりやすいが、舌の位置も視覚で確認するほうがいい)
- 仕事の現場(視覚的にも音声的にもわかりやすくて臨場感がある)
- 出演者の性格までわかる
将棋に慣れた人なら文字だけでもわかりますが、初心者にとっては動画として表すほうがわかりやすいです。
まあプロにとっても動画のほうが棋譜や手筋を覚えやすいかもしれません(=映像記憶)。
動画は難しい話題をとっつきやすくできる
たとえば株式投資をやったことがない人にとって株式投資の話題はなにかと難しく感じるもの。
PERや損益計算書といった基本的な投資用語も少し難しいです。
しかし、動画の内容次第ではとっつきやすくすることもできます。
この場合、マヂカルラブリーは投資の学徒であると同時に場を和ませたり面白くする役目も担っています。
ただし、こういう堅いジャンルの動画では演出すべてがバラエティーっぽいと信頼感を失ってしまうため、講師にきちんとした実績ある人を置くことも大切。
松井証券の場合、個人投資家として有名なテスタさんを講師にしています。
動画は情報量が多い
動画はわかりやすさとともに情報量の多さにも長けたメディアです。
たとえば「メロスは走った」という文学的な記述よりも、人が走っているところを動画で見せるほうが情報量は圧倒的に多いです。
これに関して陸上雑誌だと走り方の理想的な連続写真が載っていますが、それよりも動画で解説するほうがわかりやすいです。
もし動画出演者が声を出そうものなら撮影時の感情やテンション、声質なんかもわかります。
まったく同じセリフを発するとしても声質によって動画の再生数や商品の売れ行きが違うこともあるでしょう。
動画なら性格や雰囲気までわかる
「高学歴の人は冷たい」というステレオタイプ(固定観念)をもっている人もいるかもしれませんが、動画を見れば彼らの明るい性格まで伝わってきます。
企業が採用のミスマッチを防ぎたい場合でもリアルな職場の様子動画を見せると、求職者の理解度は上がってミスマッチは減るでしょう。
まあ、そういう動画では変に演出せず、本当にありのままのリアルな動画を提供してほしいですけど…。
ラジオ代わりにもなる
動画といえば人間の視覚に訴えるモノが多いですが、動画をラジオ代わりに使っている人もいます。
たとえば通勤中の乗り物内で好きなYouTubeをイヤホンで聴き、画面は見ない使い方は浸透しつつあります。
昔は新聞や本を広げている人が多かったのですが、時代は変わりました。
ちなみにラジオ代わりに聴く動画ジャンルはニュースや対談、解説などが適しているのであって、見た目が重要な面白系や動物などは向いていないでしょう。


日本発の音声プラットフォームとしてVoicyもありますが、YouTubeほどにはメジャーになっていないです。
YouTubeなら外国語圏の人ともつながれる
日本人の多くは英語を話すのが苦手。
しかし、日本の動画であっても英語タイトル付きで投稿すれば英語圏からも結構見られます。
英語圏からも見られる日本語動画は、動物や風景のように見た目が重要で、日本語がわからなくても成立するジャンルに多いです。
ネット動画なら発リンクをつけられる
動画投稿サイトで投稿者は何らかの発リンクをつけられる場合が多いです。
動画投稿者が視聴者を自社サイトや個人ブログに誘導して利益につなげる手法はかなり浸透しています。
たとえばDMMは『LUPIN ZERO』という新作アニメをYouTubeで途中まで無料公開して「つづきはDMM TVで有料公開」という形で発リンクをつけていました。
ほかにも、たとえば自分が飼っているペットを動画にして、その広告収益をもとにして実店舗を兼ねたペット園を開いて多くの来訪者を得たというパターンもあります。
今後は動画名刺が増える?
現在の日本社会では名刺といえば紙製カードか、スマホで表示されるような文字主体のデータです。
しかし、将来的には動画タイプの名刺が増えるという予測もあります。
動画はその人の雰囲気がよくわかるというのが理由です。
営業資料としても動画メディアは情報量が多いですから今後も増えるでしょう。
動画は勝手に進んでくれる:倍速や逆再生もできる
一般にブログやニュースサイトといった文字メディアを見る場合、読者が読むスピードに合わせて自らスクロールします。
文字メディアは見るのが面倒なのです。
しかし、動画はひとたび動画のサムネイル・タイトルをクリックすれば勝手に進んでくれますから楽。
巻き戻しや早送り、倍速も簡単にできます。私個人としてはテニスの手本フォームを0.25倍速(スローモーション)で再生して分析することがあります。
逆再生にすると通常再生よりも面白いと話題になった動画もありました。
YouTubeのようなプラットフォームでは一つの動画が終わったら関連動画やおすすめ動画を自動再生させることもできます。それゆえダラダラと動画を見続けてしまうこともしばしば。
まあYouTubeだと動画広告を途中で省略させる操作がちょっと面倒ですけどね。

気軽に見やすいため拡散力がある
動画は気軽に見やすくてSNSでも共有しやすいですから拡散力があります。
まあSNSでウケやすいのは短い尺でできた面白系の動画が多いですけど。
シリーズ型動画は続きが気になる
- 人気のYouTuberがサッカーチームを結成して合宿を行ったり強豪チームと対戦する
- 普通の個人がバス会社の路線バスを買い取って個人が使いやすいように改造していく
- ペット系YouTuberがそのペットたちの展示施設を開業するために中古物件を買って四苦八苦する
以上のようなシリーズ型動画のファンは続きが気になりますから、ついついそのYouTuberの過去動画にまでさかのぼって動画を見てしまいます。
このように「続きが気になる」という動画をつくれば継続的に視聴してくれるファンも増えるでしょう。


動画はウソを防ぐ効果もある
たとえば、この世の中にはダイエットブログがたくさん存在します。
ただし、ダイエットブログは体形の静止画をフォトショップで加工したり体重計を細工すればウソをつくことができるため、成果が本当なのか怪しいもの。
「私は1ヶ月で70kgから60kgまで痩せました」と書いても文面だけで信じてもらうのは難しいでしょう。
しかし、ダイエットの過程を示した動画だとウソがつきにくいため視聴者に「この人のダイエットは本物だ!」と感じてもらうことができます。
ここで頑張っているところを見せればファンがつくでしょう。
今の時代ならフェイク動画をつくれないこともありませんが、ダイエットのフェイク動画をつくるのは難しいです。
動画は信憑性が高いといえます。
動画は権威を上げる効果もある
動画は権威を出しやすい面もあります。
たとえば、AさんがYouTuberとして有名なHIKAKINさんと写真を撮って画像をブログに載せたとします。
しかし、静止画だとAさんとhikakinさんの関係性がわかりません。もしかしたらレストランで偶然出くわして写真を撮っただけの一時的な仲かもしれません。
これについて動画で対談している様子を流すと、視聴者は「AさんはHIKAKINさんと対談できるくらいスゴイ人物だ」と一目置かれます。
YouTubeなら逆に収益がもらえる
日本のキー局(主要民放テレビ)で15秒のCMを1回流すにはおよそ60万円以上をテレビ局に支払わなければなりません。
現代ではテレビCMなんてザッピングや録画視聴(CMカット)だらけでろくに見られていないのに広告主は高い料金を支払っているというわけ。
しかし、YouTubeなら動画の製作費はかかるとしても動画の放映料は無料です。
それどころか人気になれば逆に収益がもらえます。
YouTubeとテレビとではスポンサーとの関係性が違う
一般に民放のテレビ番組においてはスポンサーがおり、テレビ出演者はそのスポンサーにとって悪い事態を起こせません。
もし出演者が何かをやらかすと、関係者のだれかがスポンサーに謝りにいかなければならないこともあります。
しかも日本のテレビは系列の新聞社にも配慮しすぎていますから始末が悪いです。
一方、YouTubeで企業案件ではない動画の場合、Google経由の広告は何が表示されるかわかりません。
たとえば投資ジャンルの動画を見ているのであれば投資関連の広告が流れやすいのですが、それでも具体的にどのスポンサーの広告が流れるかわかりません。
つまり、YouTubeのほうがよくも悪くもスポンサーとの関係性が緩いのです。
YouTubeはスポンサーとの関係性が緩いがゆえにちょっと過激なことをいっても許される節がありますし、多少の過激さはむしろ動画再生数にとってプラスになります。
YouTubeはCMが冒頭に入りやすいですが、途中でCMが入る場合は唐突感が強いもの。
この点、テレビはCMに入るタイミングがわかりやすいです。
ネット動画は専門的に細分化しやすい:テレビは広く浅い
たとえばYouTubeには自作PCばかりを専門的に扱ったチャンネルがいくつかあります。
よく考えてみると自作PCチャンネルはYouTubeだからこそ成立するのであって、テレビ(とくに地上波)ではほぼ成立しません。
テレビはそれなりに多くの人に一方的に映像を届けるメディアであって自作PC専門チャンネルは視聴者数が少ないからです。
家電製品ばかりを扱うテレビ番組をつくって、そこでたまに自作PCを取り上げるとかだとまだ成立しうるでしょうけどね。
この点、自作PCばかりを見たい視聴者としてはYouTubeの自作PCチャンネルは歓喜に値します。
YouTubeは超大量の動画ストックがサイト内にあって、そこから視聴者が自由に選ぶ形式ですから自作PCチャンネルも成立するのです。

自作PCにのみ特化した広告を出したいPC業者としてもテレビよりピンポイントで広告を出しやすいです。
好きなタイミングで見やすい
ネット動画はストリーミングで見るにしてもダウンロードで見るにしても自分の好きなタイミングで見やすいです。
しかもネット動画における言論規制は地上波テレビよりはまだ緩いですから表現に幅をもたせることができます。
YouTubeは個人的かつ能動的
一般に視聴者はテレビを適当につけている場合が多いです。
それはご飯を食べているテーブルの横で適当に流したり、夕飯をつくりながら適当に聞くという感じです。テレビは視聴者との物理的な距離が遠く、受動的な姿勢で見やすいといえます。

一方、YouTubeは個人単位の端末(スマホやパソコン)を使って個人アカウントでログインし、その個人が好きなジャンルの動画を好きなタイミングと速度で視聴します。


ついでにいうとYouTubeのおすすめ動画はそのログインユーザーが過去に見た動画や登録チャンネル、高評価ボタンをもとに形成されます。
つまり、YouTubeのほうが視聴者は個人的かつ能動的に見る傾向があるのです。
動画コンテンツのデメリット
- 動画にもウソがある
- 動画は思考停止になりやすい
- 再生をさえぎる形での動画広告は視聴者をいら立たせやすい
- 動画は重い
- 新しい動画を出し続けないと埋もれやすい
- 再生回数のカウントが違う
- 制作に費用と時間がかかりやすい
- さっさと内容を知りたくて読解力のある人にとっては文章読解のほうが速い
- 日本語ではセリフ検索が難しい
- 動画投稿サイトにすでにアップロードした動画は修正が面倒(YouTubeにアップロードした動画はYouTube上では簡単な編集しかできないし、別の動画と差し替えるとURLが変わる)
動画流のウソもある:エガちゃんの本質はどっち?
さきほどダイエット動画は静止画と違ってウソがつきにくいと述べました。しかし、動画はウソパターンもありえます。
やはりカメラの前だとテンションや性格が変わるという人はいますからね。


江頭さんのような芸能人・YouTuberではない一般人だとしてもカメラの前だと緊張してしまって普段どおりになれないなんてのはよくあります。
その面白さは動画編集や台本のせいかも
YouTubeやテレビは生放送をのぞくと編集してから視聴者に見せるのが基本です。
そこでは台本が用意されていることもよくあります。
そうなると、普段の編集された動画では面白いのに編集されていない動画や実際に会うと面白くなくてガッカリするということがあります。
田舎で貧しい暮らしをしている女性のYouTube動画は、実は企業とともに綿密につくりこまれていたものだと判明して炎上したこともありました。
動画は思考停止でも見続けられる:投稿者にとっては視聴者を洗脳しやすい
動画は自動再生もできるように出演者が勝手に話し続けてくれますから見続けるのも簡単。
一方、書籍は自分のペースで読み進めなければならない以上、必然的に「ここはおかしくないか」などと批判したくなる精神も出てきます。
あるいはたとえば「メロスは走った」という小説での記述からは、読者は自分の想像力を働かせるでしょう。
もちろん動画の視聴でも批判精神や想像力が生じることはありますが、読書における批判精神や想像力よりは弱いでしょう。
動画は思考停止に陥りやすいのです。
最悪の場合、冷静に考えたら滑稽な陰謀論や民間療法の動画に疑問を抱かずハマってしまうことさえあります。
日本のテレビや新聞におかしいところがあるからといって、それらを全否定してネット動画ばかりを信じるのは考え物です。

コメント欄はメリットでもデメリットでもある
動画プラットフォームでは基本的に視聴者からのコメント欄があります。
このコメント欄は視聴者から気づいた点が示されたり、投稿者とのコミュニケーションの場になります。
ニコニコ動画の場合は動画内にコメントが流れることでも有名ですね。
しかし、動画の内容によってはコメント欄が荒れることもあるでしょう。
コメント欄が荒れれば、その投稿者や商品のイメージは悪くなります。
投稿者にとってはコメント欄を閉鎖するという手もありますが、コメント欄が閉鎖されたままの動画というのは印象がよくありません。
動画広告を嫌う人もいる
YouTubeでは静止画としてのバナー広告、あるいは5秒~15秒の動画広告が主流。
バナー広告は鬱陶しくないとしても、再生をさえぎる形で差し込まれる5秒~15秒の動画広告は評判が悪いです。
これに関して個人投資家として有名なテスタさんは自分の出演動画に怪しい情報商材の広告をつけられるのを嫌っています。
広告をつけたほうが収益は上がりますが、怪しい情報商材の広告がつくことによるイメージ悪化を嫌う人もいるのです。
とくにYouTubeで投稿者は広告について大まかな設定しかできません。
動画は重いから読み込みに時間がかかる
動画は読者の目に留まりやすいですから、動画がブログや企業サイトに埋め込まれていればそこでの滞在時間が上がりやすいです。
サイト運営者にとって滞在時間が長くなることはプラスですが、動画はそれなりに重いため、サイトの読み込み速度が下がるというデメリットもあります。
動画SEOと文字SEOの違い
SEOとは自分のコンテンツの検索順位を高くするための施策とお考えください。
当然、検索順位は高いほうがクリックされやすいですから動画投稿者やブロガーにとってSEOは超重要。
動画はブログよりも新しいコンテンツが次々と必要とされやすいというのも、動画投稿者から見るとデメリットかもしれません。
YouTubeでたとえば「将棋」と検索すると、最近の将棋ニュースが上位に表示されやすいです。
「サッカー」や「英語」といった他ジャンルの検索でも、新しい動画か再生数の多い動画が上位に表示されます。
これを動画投稿者の視点で考えると、新しい動画をそれなりの頻度で出していかないと自分の動画は他人の新しい動画に埋もれてしまいやすいといえます。
これに対して、たとえばGoogleで「将棋」と検索すると日本将棋連盟や人気の将棋ゲームが上位に表示されやすいです。
将棋ファンは棋戦の結果や棋士のプロフィールを確認するため1年間に何度も日本将棋連盟のページにアクセスするのです。
棋譜を見ないのであれば、将棋の対局予定や結果、棋士のプロフィールは文字コンテンツとしてみるほうが手っ取り早いでしょう。
つまり、文字系コンテンツの検索順位は運営者の権威が重要ですが、動画系コンテンツは新しくて面白い動画を次々と出していくスピード感が重要になってくるのです。
参考:文字のメリットを生かしたコンテンツの例
- パソコンのように日々価格が変わる商品のセール情報比較
- スポーツの数字(予定、結果、順位、個人成績)の確認
- 天気予報、株価、交通情報のような刻々と変わる情報
- 辞書的なコンテンツ
動画のPVは文字メディアとは違う
基本的にYouTubeでは同じ人が同じ動画を繰り返し視聴しても、動画再生回数は+1にすぎません。
IPアドレスを変えたり、かなり時間をあければ同じ視聴者でも再生回数はもう+1回になるともいわれますが、真偽はわかっていません。
そうはいっても動画再生回数を稼ぐには新しい動画を投入するのが現実的です。
ブログやニュースみたいな文字メディアだと次の日に見るだけでも+1になるのですが…。
読解力のある人にとっては文章読解のほうが速い
中田さんはアニメの著作権にも配慮しているため話術だらけで2.5時間以上をもたせています。
この動画は2倍速で再生したとしてもすべて見終わるまでに1時間ちょっとはかかります。
しかし、この動画の内容を文字に起こし、それを読解力のある人が読めばたった20分くらいで要点を把握できます。
日本人が日本語を1分間に話す際の文字数は300字くらいですが、日本語を読む速度は1分間に400~700字くらい。
読解力のある人が、内容が簡単な文を読むのであればもっと多くの語を消化できます。たとえばテレビとYouTubeの違いは動画でダラダラ解説するよりも本記事の冒頭のような比較表で見るほうが早いです。
中田敦彦さんの長い解説動画はとても人気がありますが、要点だけをさっさと知りたい視聴者にとって動画はじれったいのです。
せめて動画内を自在にセリフ検索できれば、該当箇所だけ見て離脱すればいいんですけどね。



動画内の日本語セリフ検索は難しい
たとえば1時間の動画で出演者が日本語で「いつ~」と発言したシーンを検索したいとします。これを動画内検索といいます。
動画内検索は「いつ~」が動画内で字幕になっているのなら検索しやすいとしても、字幕になっていないと検索は難しいです。
英語なら動画内検索はもっと精度が高いのですが、日本語は膠着語といって動画内検索が難しい言語なのが現状。
そういった動画内検索ソフトの開発も英語対応版のほうがすすんでいます。
日本語でもブログやニュースみたいな文字系のメディアだとページ内検索はすごく簡単にできるんですけどね。
文字メディアでは「ctrlキー+Fキー」を押すとページ内検索できます。
動画編集は時間とお金がかかる
動画は視聴するだけなら低スペックのパソコンでも大丈夫。
しかし、動画を魅力的に仕上げるために編集作業が必要であり、高い水準の編集を快適に行うにはそれなりの水準のカメラとパソコンが必要です。価格にすると10~25万円くらいはします。
最近ではiPhoneのカメラは高性能ですから動画撮影にも使えます。
動画の編集スキル自体もそれなりに必要ですし、時間もかかります。
具体的には動画編集に慣れた人がそれなりに手の込んだ形で動画を編集して10分間の尺へと仕上げる場合、3時間以上はかかります。
動画編集を外注することもできますが、これだと1本あたり4000円以上はかかります。
動画制作は時間とお金を食う面もあるのです。
参考:動画ができるまでにやること
- 動画ネタの企画
- 台本作成
- 撮影
- 切り継ぎ
- 字幕入れ
- 画像やアニメを入れる
- 最終チェック
肖像権的な問題が発生しうる
たとえば鉄道系(乗り鉄)YouTuberとして有名な人物としてスーツさんがいます。
しかし、YouTuber全員がスーツさんのように一般人にモザイクをかけているわけではありません。
投稿者に悪意がないとしても部外者が映った動画を投稿したら抗議を受けるかもしれません。
それが企業投稿の動画なら金銭問題に発展するなど面倒なことになるかもしれません。
まあ肖像権は一般人にもおよびうる重要な権利ですが、テレビの街中継とかだと堂々と一般人が映っていますからね。
このあたりの問題の白黒はまだ不明確ですから、企業は慎重な行動をとるほうがいいでしょう。
ディズニーランドでの撮影は大丈夫?
動画撮影はその撮影地でも問題になることがあります。
たとえばディズニーランドで個人が個人の範囲で撮影するのは自由。
しかし、個人がYouTubeに投稿して営利を得るとなると話は別で、禁止が色濃くなってきます。
自宅近くばかりで撮影した動画を投稿していると、やがてその投稿者の住所を突き止められてしまう懸念もあります。