あなたは上記のような【住みよさランキング】を見たとき、「えっ、おかしくない?」「何を根拠にランキング化しているんだ?」「〇〇県ってもっと下じゃない?」とか思うでしょう。
正直言って私もおかしいと思います。
賃金・不動産費用や一人あたりの公園面積のような数値で客観的に測れる分野はランキング化しやすいのですが、その土地の人間の性格や幸福感みたいなのは主観性が高いからです。
それでは固定回線(とくに光回線)の料金や通信速度は数値化できますからランキング化しやすいかといえば、種類ごとに大まかな序列をつけることできても、1つ1つランキング化するのはかなり難しいのが現状です。
にもかかわらず、単に広告報酬の順に光回線ランキングを示しているだけのサイトもあるんですよ。
光回線のランキングを鵜呑みにすると、むしろ割高な光回線業者を選んでしまうことも少なくありません。
どういうことかわかりやすく解説していきます。
重要:記事の要点(種類ごとの序列は出せるが細かい順位付けは疑わしい)
- 月額料金の高さの序列(左が高い)フレッツ光>そのほかの事業者
- 住宅別の月額料金(左が高い)一戸建て住宅タイプ>マンションタイプ
- 業者の種類別の通信速度の大まかな序列(左側にあるほど速い)独自回線≒電力系回線>フレッツ光≒光コラボ
- 住宅別の通信速度の序列(左側にあるほど速い)一戸建てプランの光回線>マンションプランの光回線>マンションのVDSLタイプの光回線
- 同じ業者の同じ速度プランを地域別に比べた場合の大まかな序列(左側にあるほど速い)田舎>郊外>都会
- 最大速度プラン別の序列(左側にあるほど速い)20Gbps>10Gbps>5Gbps>2Gbps>1Gbps>100Mbps
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おかしい!光回線のランキング
まずは光回線の料金ランキングのおかしさについて。
光回線は以下のように変動する要素が多いために料金をランキングにするのはかなり難しいです。
光回線の料金・費用負担はいろいろ変わる
- 契約しているスマホキャリアによってスマホ料金とのセット割が違う
- 1年目と2年目とで月額料金が変動する業者もある
- 速度プランによって月額料金が変わる
- 業者によって工事費の扱いが違う
- プロバイダ料金を別に表示している業者もある(とくにフレッツ光)
- 業者によって有料オプションの範囲が違う
- キャッシュバックを適用する条件は業者や代理店によって違う
- キャッシュバックは数か月おきに変わる
- 楽天ポイントやdポイントなど還元ポイントが違う
- 解約料・撤去費や事務手数料が違う
- 無線LANルーターの扱いが違う(無料レンタルか、無料提供か、低料金レンタルか)
光回線の費用負担はいろんな料金や特典を総合的に考える必要があります。
↑しかし、これだけ変動する要素が多いと光回線料金の正しいランキング化はほとんど無理になってきます。
にもかかわらず特定業者に都合のいい割引だけを取り上げて、都合の悪い分野は見せず、安く見せかけるランキングとかあるんですよ。
ただし、数ある光回線事業者の中でもNTT東西によるフレッツ光の月額料金は他業者に比べると高い傾向があります(絶対ではない)。
- 月額料金の高さの序列(左が高い)フレッツ光>そのほかの事業者
- 住宅別の月額料金(左が高い)一戸建て住宅タイプ>マンションタイプ(アパートはマンションプランが基本だが、一戸建てプランの場合もある)
一戸建てプランのフレッツ光はプロバイダと合わせて月額料金6800円くらいですが、光コラボなら5000円台が目安。
セット割はスマホユーザーによって違う
それから光回線はスマホ料金とセットで割引になる場合があります。
これによってスマホ1回線あたり100~1200円くらい割引になりますから、基本的にスマホ割が適用対象の人は優先すべきでしょう。
中にはガス代や電気代とセット割になる業者もあります。
ただし、LINEMOやpovo、その他格安SIMのような低料金プランは基本的にセット割の対象外である場合が多いです。
低料金のスマホプランの人は基本的にGMOとくとくBBが安いです。
このようにスマホのセット割だけを見ても、どれが最も安い事業者かは世帯によって違うことがわかります。
NURO光の料金は1年目と2年目以降で違う
たとえばNURO光の月額料金は、初年度は980円ですが、2年目以降は5200円。
こういう初年度と2年目以降の価格差もランキング作成者にとっては非常に悩ましいところ。
NURO光のように変動するAパターンと、そうではないずっと同じ料金をとるBパターンとでは、契約年数によってどっちが安いか高いか変わってきます。
さらにNURO光は、2Gbps、10Gbps、20Gbpsとで月額料金が違います。
もちろん、通信速度が速いほど月額料金は高いです。
このように年度や最大速度によって月額料金が変わる業者はNURO光以外にも複数あります。
工事費も複雑
光回線の工事費は、一戸建てかマンションか、契約は新規か変更か、そして最大速度はいくつか(100Mbps・1〜20Gbps)で違います。
工事の日程を土日や夜に頼むと割増料金が適用されがち。
さらに工事費はキャンペーンによって大幅割引があるのも恒常的なランキングにしにくいところ。
NURO光は撤去費が11000円と他社より少し高いのも気になります。
還元ポイントも違う:楽天市場もある
Ponta、dポイント、楽天ポイントなど光回線の月額料金の支払いにポイント付与がある事業者の場合、還元率は1%くらい。料金が5000円だとしたら50円の還元です。
しかし、ドコモ光はdカードGOLDで支払うと1000円(税抜)ごとに10%ポイント還元があるように料金の支払い方法によって費用が変わる業者もあります。
さらに楽天ひかりの場合、楽天モバイルも契約すれば楽天市場での獲得ポイントが上がります。
還元ポイントは基本的に小さい率ではありますが、それでもトータル費用のランキングに算入するのは面倒です。
プロバイダ料金やオプションはどこまで含まれているか
光回線業者の中でもフレッツ光はプロバイダ料金は別に表示している傾向があります。
この場合、プロバイダ料金は月額500~1000円といったところ。
さらに光回線の高速規格であるIPv6が適用されるには、無料の業者と別料金が必要な業者とに分かれています。
キャッシュバックも違う
光回線といえば「●万円還元」というキャッシュバックが目を引くものです。
しかし、光回線のキャッシュバックは出る条件が業者や代理店によって違います。
新規契約か、それとも変更(フレッツ光から光コラボ、あるいは光コラボからNURO光など)か、有料オプションの契約、一定期間以上の契約継続などキャッシュバックが出る条件はさまざま。
他社の解約金を負担してくれる業者も結構あります。
さらに光回線業者や代理店はキャッシュバックの内容を数ヶ月おきに変えます。
こういうキャッシュバックの複雑さも料金をランキングにしくい要素です。
「光回線の有料オプションは無駄」と言われることもありますが、どこをもって有料オプションが無駄かは世帯によって違います。
無線LANルーターの扱いは業者によって違う
無線LANルーターはおもに光回線を屋内で無線化するのに使います。
この無線LANルーターは、光回線業者からの低料金レンタル(相場は1か月500円くらい)、光回線業者からの無料提供、何もなしという計3つのパターンがあります。
何もない場合、自分で無線LANルーターを買うことになります。
つまり、無線LANルーターへの出費も業者や選び方によって違うのです。
これもランキング化しにくい要素の一つとなります。
光回線の通信速度ランキングもおかしい
次は光回線の通信速度ランキングについて。
光回線を利用する以上、ユーザーとしては当然、通信速度は速くあってほしいもの。
光回線の通信速度は次のように大まかな序列はつけられますが、細かいランキング作成は不可能です。
- 業者の種類別の通信速度の大まかな序列(左側にあるほど速い)独自回線≒電力系回線>フレッツ光≒光コラボ
- 住宅別の通信速度の序列(左側にあるほど速い)一戸建てプランの光回線>マンションプランの光回線>マンションのVDSLタイプの光回線
- 同じ業者の同じ速度プランを地域別に比べた場合の大まかな序列(左側にあるほど速い)田舎>郊外>都会
- 最大速度プラン別の序列(左側にあるほど速い)20Gbps>10Gbps>5Gbps>2Gbps>1Gbps>100Mbps
- 端末の接続台数と通信速度の関係どんな回線でも接続台数が多いほど通信速度は下がりやすい
まず光コラボはフレッツ光の回線設備を借りて運営している光回線サービスなので、両社は提供エリアと通信速度は同じです。
厳密にいうとフレッツ光と光コラボではプロバイダが違いますから、それによって通信速度も少し違います
しかし、光コラボのプロバイダの通信速度をきちんとランキング化するのはかなり難しいですし、小さな差ですから強く気にする必要はないでしょう。
独自回線や電力系回線は速い
独自回線や電力系回線の通信速度がフレッツ光や光コラボよりも高いのは、フレッツ光や光コラボとは設備の系統が違ううえに世間では少数派であるため混雑しにくいからです。
ただし、独自回線や電力系回線は提供エリアが狭いため、契約できる世帯は限られています。
独自回線は提供エリア内だとしてもマンションの構造や利用世帯数によっては契約できないこともしばしば。
住宅別の速度序列
- 通信速度について同じ業者を地域別に比べた場合の大まかな序列田舎>郊外>都会
- 住宅別の通信速度の序列一戸建てプランの光回線>マンションプランの光回線>マンションのVDSLタイプの光回線
住宅別の通信速度は上記のとおり。
マンションは光回線設備が共有的であるため費用は安いものの、みんなが自宅にいてネットをよくやる時間帯(夕方~夜)は速度が下がりやすいのです。
都会が田舎よりも遅い傾向にあるのも人口密度が原因。
さらにマンションの中でもVDSLというタイプは半分が電話回線であるため通信速度は遅いです。
※光回線の速度プランは基本的には最大速度1~2Gbpsがおすすめ。ただし、動画投稿のアップロード速度にこだわる人はもっと速いのを選ぶのもあり。
※マンションはマンションでも大都会だと10~20Gbpsのプランが契約できる場合があります。これは速いです。
※一戸建て住宅の光回線プランは通信速度は速いものの、月額料金はマンションよりも高いです。これは光回線設備が独立的であることがおもな理由。
要するに住んでいる地域や家によって光回線の通信速度は違いますから、光回線の通信速度ランキングはちょっとした参考にしかならないのです。
契約者数ランキング(人気ランキング)はあまり参考にならない
総務省によると光回線の契約者数ランキングは以下の通り。
- NTT東西フレッツ光
- NTTドコモのドコモ光
- ソフトバンク光
- auひかり
- eo光
- コミュファ光
- NURO光
日本の光回線設備はNTTグループによって築かれたのでNTTフレッツ光が強いのは当然。
本当はフレッツ光と同じような品質ながらもっと安い光回線(=光コラボ)があるんですけど、光コラボを知らない人は多いか、乗り換える手続きが面倒なのでしょう。
次にドコモ光が強いのは、ドコモのスマホユーザーはかなり多いうえに彼らはセット割を目当てにドコモ光を契約しているからでしょう。
それと同じ理論でソフトバンク光とauひかりが続きます。
契約者数はauひかりのほうがソフトバンク光より多いような気もしますが、auひかりは全国展開しているわけではないので、全国展開しているソフトバンク光に負けているという感じです。
eo光は関西では有力な電力系回線、コミュファ光は中部地方では有力な電力系回線、NURO光は大都市圏でのみ契約できる独自回線です。
要するに光回線の契約者数ランキングは光回線がNTTグループを中心に築かれたことを示しているだけなので、あまり重視する必要はないわけ。
光回線を選ぶ際は月額料金の安さや通信速度が重要です。
顧客満足度調査は乱立している
光回線に限らず商品の横に「顧客満足度調査1位」みたいな宣伝文を見たことがある人は多いはず。
しかし、この類の顧客満足度調査をする会社は乱立しています。
そのため、L社が調査した顧客満足度調査1位、M社が調査した顧客満足度調査1位、N社が調査した顧客満足度調査1位みたいな感じで顧客満足度調査1位は量産できますから、顧客満足度調査1位はあまりあてになりません。
ランキングより、あなたの家に合っているか否かが重要
たとえば人間の住所は、東京のような大都会が合っている人もいれば、沖縄のようなのんびりとした南国が合っている人もいます。
東京にも沖縄にもメリットとデメリットがあり、それぞれの感じ方は人によって違います。
光回線を選ぶうえでも大まかな序列・傾向を知ることは大切ですが、細部まで正しいランキングをつくることはほぼ不可能です。
つまり、住みよさも光回線もランキングよりも世帯に合っているか否かで考えるべきなのです。