「光回線は全部同じ(どこも同じ)」と思っている人がいますが、実際には小さな違いが多くの項目にわたって積み重なっています。
今回は「光回線は全部同じ」を否定する根拠と光回線の多様性の中心にいる光コラボについて解説します。

タップできるもくじ
光回線は全部同じ?【光コラボの違いとともに解説】
光コラボ(光コラボレーション)とは、NTT東西以外の事業者がNTT東西のフレッツ光回線を借り、そこに独自のサービスを組み込んだ光回線事業のこと。
光回線は有線のインターネット回線ですから、本来、光回線の所有者および運営者になれるのはNTTのようなすごく資金力のある大企業だけです。

しかし、NTTだけに光回線を任せていると光回線料金が高止まりしたり、さまざまなユーザーの要求に合ったサービスを展開できないため、光コラボが始まったのです。
光回線各社は差別化をめざした
光コラボは光回線の種類の一つであり、かなり多くの事業者数があります。今までに撤退した光コラボ事業者もいくつかいます。
フレッツ光は2社、独自回線は約2社、電力系回線は5社と少ないです。
基本的に運営元の有名な大手に粗悪な企業は少ないですが、そこまで業者数が多いと中には悪質な業者・代理店もいます(リンク先は総務省PDF)。

これだけ業者数が多いと消費者としては選ぶのにいろいろ迷ってしまうでしょう。
「光回線は全部同じ」ではなく小さな違いが多い:設備系
具体的に光回線の設備や契約者数は以下のように違います。
光回線は全部同じ…ではない根拠その1
- 設備系統が違う
光コラボはフレッツ光の設備を借りているため提供エリアと通信速度がほぼ同じだが、独自回線や電力系回線はそれとは別
- 契約世帯数が違う
フレッツ光や光コラボは契約世帯が多いが、独自回線や電力系回線は契約世帯が少ない(ユーザー数が少ない回線のほうが混雑しにくい)
- プロバイダと別契約か
フレッツ光はプロバイダと別契約だが、ほかの光回線は基本的にプロバイダとのセット契約(あとで解説)
- 各社はさまざまな速度プランをもっている
100Mbpsプラン(おもに古いマンション向け)、300Mbpsプラン、1Gbpsプラン(日本での主流)、2Gbpsプラン(NURO光の標準)、10Gbpsプラン(各光回線の一部地域で可能)、20Gbpsプラン(NURO光が東京の港区や豊島区でのみ提供)
契約世帯数が違うと通信速度も違うというのは割と重要なところ。
同じ速度プランだとしても独自回線や電力系回線のほうが少し速い傾向があります。
「光回線は全部同じ」ではなく小さな違いが多い:独自のサービス
光コラボ各社は競合他社と差別化するために自社サービスについて独自の付加価値をつけ、その競争に独自回線や電力系回線も加わりました。
独自のサービスとは具体的に以下のとおり。
光回線は全部同じ…ではない根拠その2:独自のサービス編
- セット割が違う
業者によっては光回線とスマホ料金のセット割がある(ほかにも電気代やガス代とセット割を適用する業者もある)
- 経済圏や還元ポイントが違う
契約後の初回特典や毎月の支払いによってポイントをくれる業者もある
- キャッシュバックが違う
1~10万円が目安(もらえる条件はさまざまだし時期によっても変わる)
- プレゼントが違う
契約したら最初にPS5やPCをくれる業者もある
キャッシュバックやプレゼントは消費者にとってうれしい措置ですが、有料オプションも同時に契約するのが条件、一定期間にわたって契約し続けるのが条件、新規契約が条件、他業者からの変更が条件などいろいろあります。
- 初年度割が違う
光回線の月額料金は3500~6000円が主流だが、一部の業者は「初年度のみ月額1000円」みたいな期間限定割引を打ち出している
- 違約金が違う
光回線は2年ごと、あるいは3年ごとに契約を更新するが、その2年間や3年間の途中で解約すると違約金が生じる(違約金の額は業者によって違うし、中には違約金がない業者あり)
- 無線LANルーターの価格体系が違う
選択肢は自分で買う、無料プレゼント、有料レンタル、無料レンタルがある(レンタルの場合、解約時は返却)
- 開通までの工事回数が違う
基本的には1回だけだが、例外的にNURO光は2回ある
- 開通まで待つ時間が違う
フレッツ光や光コラボのほうが独自回線や電力系回線よりも開通までに待つ時間は短い傾向がある
- 設備の撤去費が違う(原状回復を頼んだときの費用)
光コラボは0~1万円と安いが、独自回線や電力系回線は2~3万円と高い
- 顧客サポートが違う
顧客サポートの良し悪しは客観的な数値として表しにくいが、基本的には大手企業のほうが顧客満足度は高い傾向にある
光回線事業者には以上のような違いがあります。
しかし、裏を返せば通信の品質だけでは違いをもたせにくいため、各社はセット割やキャッシュバックをつけたり、無線LANルーターをプレゼントしたりするともいえます。
ここから先は通信速度、プロバイダ、セット割・経済圏、顧客サポートについて補足します。
速度プランは1~2Gbpsで満足しやすい
さきほどの箇条書きのような違いをよい形で実感できるかは人によって違います。
たとえば光回線の速度プランの主流は1~2Gbpsプランです。
1Gbps=1000Mbps
数値が大きいほど通信速度は速いです。
100Mbpsプランのマンションは遅いとしても、多くの世帯は1~2Gbpsプランで大丈夫なはず。
最大速度10Gbpsのプランは提供エリアが各地の大都市圏に限定されています。
「10Gbpsプランにしてよかった」と思えるには大きなサイズのファイルを頻繁にダウンロードしたりアップロードしたりする人に限られます。
こういった違いを実感できない人にとっては「光回線は全部同じ」という見方になりやすいかもしれません。
プロバイダはセット料金か
光コラボとフレッツ光は回線設備は同じですが(リンク先は総務省公式のPDF)、プロバイダ(接続事業者)は違う場合が多いです。
光コラボのプロバイダはさまざまですからフレッツ光と光コラボとではプロバイダの違いによって通信速度に少しの差が生じます。
プロバイダとは回線をインターネットにつなげる事業者のこと。
フレッツ光だとプロバイダは自由に選べますが、光コラボだとプロバイダとセットになっている業者が圧倒的に多いです。
プロバイダの違いによる通信速度は大した差ではないので、光コラボでプロバイダを自由に選べないのは大きなデメリットではありません。

セット割:経済圏ビジネスは横並び状態
たとえば楽天モバイルのユーザーにとって光回線は、同じ楽天グループである楽天ひかりに入るのが最もお得。
そうすると、楽天市場での買い物ポイントも少し多くつくからです。ほかにも期間限定で楽天ポイントをアップしてくれるキャンペーンをやっていることがあります。
このように会社が連鎖的に顧客を囲い込むビジネスを「経済圏」といいます。
最近ではスマホ料金、電気代、ガス代、ネットフリックス料金とセット割を設けている業者もあります。
初回契約後あるいは月額料金の支払いごとにドコモならdポイント、auならponta、ソフトバンクならPayPay、楽天なら楽天ポイントなどがもらえたりします。
さらに光回線の料金支払いは基本的にその系列会社のクレカで支払うほうが少しお得。これはたとえば楽天のサービスを使うなら楽天カードという具合です。
セット割がない業者のほうが光回線の月額料金は安い傾向にあります。
逆にドコモ、au、ソフトバンクは光回線の通常料金は少し高いからこそセット割が充実しています。
一昔前なら経済圏ビジネスといえば楽天経済圏に勢いがありました。
しかし、楽天は楽天ポイントの改悪を行ったことから現在では4社が横並びに近い状態となっています。
参考記事
サポートの良し悪しは見抜きにくい
光コラボはさまざまな事業者が営んでいますから、その中にはサポートの評判がよくない事業者もあります。
サポートの良しあしは、その業者の公式サイトにて上記のような障害情報やメンテナンス情報をきちんと記しているかを確認しましょう。
オンラインの問い合わせ窓口はどこの業者サイトでもありますが、回線の障害情報やメンテナンス情報をきちんと記していない業者は意外とあります。
トラブルを正直に記していない業者はサポートの評判がよくありません


本業が通信や電気に関係ない光コラボ事業者は頼りにならない傾向があります。
以前、ネット通販が本業の中堅企業が光コラボに参入しましたが、評判はよくありませんでした(現在は半ば撤退中)。