光コラボ(光コラボレーション)とは、NTT東西以外の事業者がNTT東西のフレッツ光回線を借りて、そこにその事業者が独自のサービスを組み込んだ光回線事業のこと。
光コラボは光回線事業の自由化に近いといえます。
※光コラボは卸売り。光コラボ事業者はNTTから卸売りを受け、一般消費者は光コラボ事業者と契約します。
卸売り(おろしうり)とは業者が業者に売ること。
※コラボは英語のコラボレーション(collaboration)の略。コラボレーションとは異なる主体が協力すること。NTTとしては単に協力するだけにとどまらず、新たな付加価値を生み出したいと考えています。(リンク先はNTT東日本公式サイト)
まずは参考までに光コラボに関する疑問と回答を示します。
光コラボの概要と光回線の種類はもう少し下で解説しています。
光コラボはなぜ始まった?
- 2015年まで光回線はNTT東西の独占市場だったが、総務省とその審議会は多様な事業者を参入させたほうが国民にとってプラスになると判断した(リンク先は総務省PDF)
光コラボは悪質?
- 光コラボの業者は600もあり、その代理店も含めるともっとある。基本的に有名な大手に粗悪な企業は少ないが、そこまで多いと中には悪質な業者・代理店もいる(リンク先は総務省PDF)。
光コラボが安い理由
- 数百もの業者が参入して競争しているから基本的にはフレッツ光より安い。ただし、一部には割高な業者もある(料金を複雑化して割高感をごまかしている)。
悪評の例としては、オプションが最初の数か月だけ無料でそのあとは割高な有料、キャッシュバックがお得と思ったら条件が複雑で支払われなかった、工事の予定が当初より遅れた、「NTT委託」と名乗られたが委託ではなかった、IPv6という高速規格は有料オプションだったなど。
どこかに注意書きもあるはずだが、それが明示されていなかったら問題。光コラボは基本的にフレッツ光よりも安いのだが、有料オプションをつけるとフレッツ光より高くなる場合がある。
光コラボの速度はフレッツ光と変わらない?
- 光コラボとフレッツ光は設備は同じだが(リンク先は総務省PDF)、プロバイダ(接続事業者)は違う場合が多い。この場合、プロバイダの差によって通信速度は少し違うが、大筋として速度は同じに近い。速度をもとめるならNURO光やauひかりといった独自回線のほうが速い可能性は高い(提供エリアは限定的)。
光コラボの速度は安定性がある?
- そもそも光回線は自宅外では有線だから、自宅外では無線のホームルーターやモバイルルーターより速度は安定している。光コラボはNTTフレッツ光と設備が同じなのも信頼感もある。
ただし、どんな光回線でもマンションは一戸建て住宅よりも通信速度は遅い傾向がある。とくにVDSLという光回線方式(半分、電話回線)のマンションではみんなが自宅にいてネットをよくやる時間帯(夜)は遅くなりやすい。
また光回線は、どんな事業者でもIPv6という混雑しにくい規格で利用するほうが速い。
楽天モバイルが遅いと、楽天ひかりまで遅いの?
- 楽天ひかりは光コラボの一種だからフレッツ光と設備は同じだし、そもそも光回線は有線のネット回線。一方、楽天モバイルが遅いのは楽天独自の基地局が発展途上にあるのが主因。つまり、楽天ひかりと楽天モバイルの通信速度はまったく別体系だから、それぞれの通信速度は独立的に考えるべき。
楽天モバイルで契約したスマホが遅いのなら、Wi-Fi接続なのか、モバイルデータ通信経由なのかも見極めよう。
フレッツ光から光コラボに変えるのは簡単?
- フレッツ光と光コラボの設備は同じだから、すでにフレッツ光の設備があれば光コラボへは簡単に乗り換えられる。これを転用という。(独自回線や電力系回線はいろいろ別)
光コラボはやめとけ?
- 光コラボの業者は600もあるから、あなたに合う業者もいれば合わない業者もいる。合う業者ならおすすめだが、合わない業者や無駄な有料オプションはおすすめしない。
電話営業してきた光コラボ業者って危ない?
- 光回線の選び方知識はややこしいから、電話口だけで業者の話を理解するのは知識のある人以外には難しい。訪問営業のあとでさえ理解していないかも。それゆえ、きちんと理解していないまま契約してしまうのが危ない。
基本的にネット回線は当サイトのネット回線の選び方知識をもとに選ぶのがいい。
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光回線の種類【独自回線と光コラボの意味】
今回は日本で主流のネット回線である光回線の種類を解説します。
というのも現在、日本にはなんと約600もの光回線事業者があります。
しかし、ひとくちに「光回線」といっても実は4種類くらいに分けられます。
600もの事業者を1個1個見ていくのは非現実的ですから、4種類を知っておきましょう。
光回線の種類一覧表
提供エリア | 回線速度 |
事業者数 | 利用者数 | 月額料金 | キャンペーン セット割 |
|
フレッツ光 | 全国47都道府県 | 光回線としては普通 | NTT2社 | 多い | やや高い | 普通 |
光コラボ | フレッツ光と同じ | フレッツ光とほぼ同じ | 数百社 | 多い | 普通~やや高い | いろいろ豊富 |
独自回線 (ダークファイバー系) |
各地の大都市圏 | 速くて安定している | 数社 | 少ない | 普通~やや高い | いろいろ豊富 |
電力系の光回線 | 西日本の都市圏 | 速くて安定している | 数社 | 少ない | 普通~やや高い | いろいろ豊富 |
上の表で一番のポイントは、光コラボは提供エリアと回線速度がフレッツ光と同じですが、光コラボは数百もの事業者がいるということ。
フレッツ光の簡単な歴史
そもそも光回線の元祖といえばNTT(日本電信電話)東西によるフレッツ光です。
NTT東西は電話事業者として昔から有名であり、1990年代~2000年代初頭の人々はNTTの電話回線経由でインターネットに接続することが一般的でした。
しかし、電話回線経由のインターネットは通信速度がかなり遅いため、光ファイバーというケーブルを使った高速回線が全国的に整備されていきました。これがNTTの光回線です。
NTTのTTはtelegraph(=電信、電気通信)とtelephone(=電話)を意味するように、NTTの事業領域は電話だけではないのです。
いわゆる「フレッツ光」とはNTT東西としての光回線事業の登録商標を意味します。
フレッツ光は知名度もシェアも業界トップクラスにあり、一部の地域では最大速度10Gbpsという超高速プランも販売されています。
光コラボとは:光回線の自由化に近い
2015年からは光コラボ(光コラボレーションの略)が活発化しました。
光コラボとは、NTT東西以外の事業者がNTTのフレッツ光回線を借りて、そこにその事業者が独自のサービスを組み込んだ光回線事業のこと。
これによって光回線事業者の競争が活発化し、光回線の月額料金は下がるとともに光回線の普及は加速しました。
光コラボとフレッツ光との違い

NTT東日本系とNTT西日本系のシェアには光コラボも含まれる
- 光コラボ各社の提供エリアはフレッツ光と同じであり全国的に広い
- 光コラボ各社の回線速度や安定感は、最大速度が同じプランであればフレッツ光とほとんど同じ
- 光回線の契約者数ランキングはフレッツ光が1位
- フレッツ光経由でインターネットを利用するにはNTTとの契約のほかにプロバイダとの契約も必要だが、光コラボはプロバイダとセットになった事業者ばかり
- 光コラボ各社の月額料金はフレッツ光より安い場合が多い(特典やキャンペーンも多い)
- 光コラボ各社のオプションはフレッツ光より多い
- スマホ料金や電気代、ガス代、ネットフリックスなどとのセット割を設けている光コラボ事業者もある
- すでにフレッツ光の設備がある状態から光コラボへの事業者移行は簡単(工事不要)
- フレッツ光も光コラボも申込~開通までにかかる時間は光回線の中では早いほう
- フレッツ光も光コラボも利用者数が多いため、混雑する地域や時間帯によっては通信速度が少し下がる
プロバイダとは回線をインターネットにつなげる事業者のこと。プロバイダによって料金の高さや速度の安定感は多少異なります。
フレッツ光と光コラボの違い
フレッツ光と光コラボは1Gbpsプランの場合、理論上の通信速度は同じです。
しかし、現実にはフレッツ光とさまざまな光コラボとでは次の理由によって通信速度に少しの差が生じます。
- 地域や時間帯の違い(混雑している地域や時間帯だと少し遅くなる)
- マンションと一戸建ての違い(基本的にマンションのほうが遅い)
- プロバイダの技術や設備の違い
- 事業者による制御の違い
- IPv6に入っているか(IPv6対応のルーターか)
ルーターはユーザーのほうですぐに対応できますが、ほかの要素はユーザーがコントロールしにくいです。

光コラボがキャンペーンを積極的に展開する理由
フレッツ光の事業者はNTT東西2社しかありませんが、光コラボ事業者は数百もあります。
そこで光コラボ各社は特典やキャンペーンをつけて競合他社と差別化しようとしているわけ。
フレッツ光も光コラボも時間帯によっては混雑して回線速度が落ちるのですが、通信障害というほどのひどい状態でなければ混雑時でも回線速度は150Mbpsは出ます。
混雑していなければ300Mbps以上は固いです。
100Mbpsもあれば高画質動画もオンラインゲームもオンライン会議も快適に見ることができますよ。
光回線の理論上の最高速度は1~2Gbpsが多いです。しかし、大都市圏の一部では「光クロス」といって理論上は10Gbpsもの速度が出せるプランも選べます。
フレッツ光と光コラボの提供エリア検索
NTT東日本光アクセスサービス 提供エリア検索(光コラボを東日本で契約する世帯も該当)
新潟県、長野県、山梨県はNTT東日本エリアに入っています
NTT西日本光アクセスサービス 提供エリア検索(光コラボを西日本で契約する世帯も該当)
富山県、岐阜県、愛知県、静岡県はNTT西日本エリアに入っています。
新築住宅のエリア検索の注意点
新築住宅だとエリア検索してもまだ回線事業者に登録されていない新規に造成した土地・住所である場合があります。
この場合、そこからかなり近い土地について検索してみてエリア内に入っているのであれば提供エリア内の可能性が高いです。
わからなければ光回線業者に調べてもらうのもいいですよ。
独自回線の特徴:速いが提供エリアは大都市圏が中心
次は独自回線について。独自回線とはフレッツ光や光コラボとは違う回線を使った光回線だと考えてください。独自回線としてはNURO光とauひかりが代表的。
独自回線はNTT東西のダークファイバー回線を使っています。ダークファイバー回線とはNTTが整備した回線のうち普段は使わない回線のこと。
独自回線の通信事業者はこのダークファイバーを使って光回線サービスを提供しているのです。
独自回線は光コラボよりも利用者数が少ないなど混雑しづらいため回線速度は安定して速い傾向があります。
その割に月額料金は光コラボ各社とあまり変わらないためお得感があります。
ただし、独自回線はフレッツ光や光コラボよりも提供エリアが狭く大都市圏が中心です。
また独自回線は提供エリア内だとしても住宅(とくにマンション)の構造によっては導入工事ができないという欠点があります。
NURO光はソフトバンクのスマホと、auひかりはauのスマホとのセット割があります。
しかし、独自回線との関係ではドコモのスマホにセット割はありません。
NTTドコモと契約しているスマホをお持ちの人はドコモ光(光コラボ)を選ぶのがおすすめ。
auひかりとNURO光の提供エリア検索
auひかり 提供エリア検索
NURO光提供エリア検索
電力系の光回線は独自回線の一種
次は電力系の光回線について。
電力系の光回線はNTTとは違う回線を通るため独自回線の一種に入ります。
電力系光回線の特徴
- 利用者が少ない回線であるため速度が低下しにくい
- 提供エリアが限定的(中部、関西、中国地方、九州)
- 対象の地方電力とセットで申し込むと月額料金が割引
- auスマホとのセット割あり
電力系の光回線の提供エリアは各電力会社の電力供給エリアと重なります。
電力系の光回線の運営は電力会社のグループ企業です。とくにマンションでの電力系光回線の利用は構造的に難しい場合があります。
どこの電力会社系列 | 提供エリア | |
eo光 | 関西電力 | 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県、福井県の一部地域 |
コミュファ光 | 中部電力 | 愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、長野県の一部地域 |
MEGA EGG![]() |
中国電力 | 広島県、岡山県、島根県、鳥取県、山口県 |
ピカラ光![]() |
四国電力 | 香川県、徳島県、愛媛県、高知県 |
BBIQ![]() |
九州電力 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
上の表においては東日本に電力系の光回線が見当たりません。
ちなみに現在の東京電力系の光回線(TEPCOひかり)は東京電力系の会社が提供しているとはいえ、光回線の種類としては光コラボ系に属するのであって独自回線とはいえません。
東日本の独自回線としてはNURO光やauひかりなどがありますから、電力系の独自回線がなくても問題ありません。
電力系の光回線の提供エリア検索
メガ・エッグ(中国地方)提供エリア確認
BBIQ(九州地方)サービスエリアチェック
eo光(近畿~福井)サービス提供エリア
コミュファ光(東海地方)サービス提供エリア
ピカラ光(四国地方)ピカラ提供エリア
光ハイブリッドは光回線の雑種みたいな存在
次に光ハイブリッドとは自宅の手前までは光回線で、そのあとは同軸ケーブルを使った回線のこと。
光ハイブリッドはおもにケーブルテレビが提供しています。
※ハイブリッド(hybrid)とは雑種、交雑した方式という意味。
※ケーブルテレビ会社のインターネット回線=光ハイブリッドとは限らず、ケーブルテレビ会社が光コラボとして光回線を提供している場合もあります。
光ハイブリッドは光回線と同軸ケーブルの雑種であるため、フレッツ光や光コラボ、独自回線よりは速度が少し遅いです。
しかし、ケーブルテレビの光ハイブリッドはセットで有線テレビ放送も見ることができます。
そのためインターネットだけでなくケーブルテレビの有線テレビが見たい人におすすめ。
ただし、今の時代はケーブルテレビの有線放送だけでなく、ネットフリックスやU-NEXT、ひかりTVにも面白い動画がたくさんあります。
そのため有線テレビにこだわらず選ぶのがいいと思います。
マンションのVDSLとLAN配線方式は雑種みたいなもので遅い
そもそも光回線のメリットといえば通信速度が速くて安定していること。
しかし、光ハイブリッドは途中から同軸ケーブルになっているため遅いのです。
これと同じような仕組みとして、光回線のマンションプランのVDSL方式とLAN配線方式があります。
- 光回線のマンションタイプの光配線方式
基地局からマンションの共有設備、そして各部屋まですべて光ファイバーで接続されているから安定して速い
- 光回線のマンションタイプのVDSL方式とLAN配線方式
基地局からマンションの共有設備までは光ファイバーで接続されているが、共有設備からはLANケーブル(LAN配線方式)、あるいは電話回線(VDSL方式)になっているため遅い。
※光回線のマンションタイプのVDSL方式とLAN配線方式は光配線方式よりも遅いですが、モバイルWi-Fiルーターやホームルーターよりは少し速い傾向があります。
つまり、光回線は純粋には速いのですが、光回線と別タイプの回線と組み合わせると遅くなってしまうのです。
VDSL方式とLAN配線方式は築年数が古いマンションに多いです。
マンションの構造をVDSL方式から光配線方式や一戸建てタイプへと変えるにはお金がかかりますし、大家さんや管理会社の許可も必要です。
マンションの接続方式はマンションの設備によって決まりますので自由に選ぶことはできません。
ただし、マンションによっては光回線の戸建てプランを導入することもできます。この導入可否は大家さんや管理会社に聞いてみましょう。
まとめと速度順位:NTT系か、独自路線か、雑種か
- NTT東西のフレッツ光
光回線の元祖であり、料金が高め。
- 光コラボ
NTTの光回線を借り受けた光回線。業者が乱立していてどれを選ぶか迷う。通信の質と提供エリアはフレッツ光と同じであるにもかかわらずフレッツ光より少し安い。
- 独自回線
NTTのダークファイバーを使った回線。回線速度は速くて混雑しにくいが、提供エリアは都市圏ばかりで光コラボより狭い。料金は一戸建てなら光コラボと同じくらい、マンションプランなら光コラボより少し安いくらい。
- 電力系の光回線
独自回線の一種。回線速度は速くて混雑しにくいが、提供エリアは都市圏ばかりで光コラボより狭い。
- 光ハイブリッド
おもにケーブルテレビが提供する同軸ケーブルと混ざった光回線。速度や安定感は光コラボや独自回線に比べると少し劣る。
- VDSL方式とLAN配線方式
マンションプランに用いられる遅くて安い雑種系の光回線。