たとえば、あなたのスマホキャリアは楽天モバイルだとします。
この場合、もし自宅用ネット回線として光回線を契約するなら楽天ひかりがおすすめ。
なぜなら楽天モバイルのユーザーが楽天ひかりを契約すると、楽天市場での買い物も含めて楽天ポイントが少し多くつくからです。
ほかにも楽天グループのサービスを多く使うほどポイント獲得効率は大きくなります。
これがいわゆる楽天経済圏であり、囲い込みビジネスとして典型的な例です。
※囲い込みビジネスとは顧客がほかのグループ企業に逃げないようにする経営手法のこと。
日本は自由経済の社会であるためポイントから逃げようと思えばいくらでも逃げられるのですが、「損したくない」という欲望はだれもがもっています。そのため欲望に乗じた囲い込みビジネスは有効性があります。

囲い込みから逃げられない羊たち
この類の囲い込みビジネスで消費者は最初に楽天を選ぶと連鎖的に楽天ばかり選びやすいですから、最初にどの経済圏を選ぶかが重要です。
ひとたび楽天経済圏のヘビーユーザーになると、ほかの経済圏に移るのは面倒ですからね。
今回は日本の大企業グループの中でも事業領域が重複している以下4つの経済圏の選び方をわかりやすく比較します。
- 楽天経済圏(楽天ポイント)
- PayPay経済圏(ソフトバンク系)
- au経済圏(Pontaポイント、KDDI系、三菱系)
- ドコモ経済圏(dポイント、NTT系)
以上の企業グループは基本的にスマホとキャッシュレス決済を中心としています。

参考:囲い込みビジネスで企業側がよく使う手法
- 従業員への割引制度で従業員一家を囲い込む(たとえば一家の大黒柱が楽天従業員で楽天ユーザーだと家族も楽天ばかりになりやすい)
- スマホ料金に家族割を適用する(データ容量のギフトやシェアは家族間での適用が基本だから家族も同じスマホ回線になりやすい)
- 独自規格でゴリ押し(たとえばAppleのLightningは独自規格だから他社の規格は使いにくい)
- ポイントカードで釣る(消費者としてはポイントが残っているとまた使いたくなる)
- 手数料や金利を優遇する(優遇されるステージになるには、資金と使用頻度を特定の金融機関に集中させるほうがいい)
本記事の最後ではポイント獲得に縛られすぎないほうがいいことも示しています。
タップできるもくじ
経済圏の選び方【楽天、dポイント、Ponta、PayPayによる囲い込み】
経済圏の選び方の要点
- スマホ回線についてどこを選ぶかが起点
- 自分がよく使う実店舗やネット通販が対応している経済圏がいい(加盟店舗数が多いほうが便利)
- ネット通販はキャンペーンによって獲得ポイントが変わるから、経済圏を複数併用するのもあり
- 総合的に優れているのは楽天だが、楽天のすべてが素晴らしいわけではないので使い分けも必要(楽天モバイルの電波状態と横領事件、楽天市場のごちゃごちゃレイアウト、楽天証券のシステム障害などの印象が悪い)
- ポイントの貯めやすさと使いやすさ
キャンペーンをずっと監視するのは時間を浪費するように面倒なので、経済圏の使い方は完璧をめざさなくて大丈夫。



経済圏の比較表
楽天経済圏 | PayPay経済圏 (ソフトバンク系) |
au経済圏 | ドコモ経済圏 | |
共通ポイント 有効期限(例外あり) |
楽天ポイント 獲得から翌年同月の前月末日 |
PayPayポイント 無期限 |
Ponta 最後のポイント加算・利用から1年 |
dポイント 獲得から48か月後の月末 |
年会費無料クレカ 還元率 |
楽天カード 1%~ |
PayPayカード 1%~ |
au PAYカード 1%~ |
dカード 1%~ |
決済 | 楽天ペイ | PayPay | au PAY | d払い |
銀行 | 楽天銀行 | PayPay銀行 住信SBIネット銀行 |
auじぶん銀行 | |
証券 | 楽天証券 | PayPay証券 | auカブコム証券 | SMBC日興証券 |
保険 | 楽天保険 | PayPay保険 | au損保 | |
ふるさと納税 | 楽天ふるさと納税 | au PAYふるさと納税 | ふるさとチョイス | |
↑金融分野 | ||||
スマホ | 楽天モバイル | ソフトバンク ワイモバイル LINEMO |
au povo UQモバイル |
ドコモ ahamo |
光回線 | 楽天ひかり | ソフトバンク光 | auひかり | ドコモ光 |
ホームルーター | Rakuten Turbo | SoftBank Air | auホームルーター | ドコモhome 5G |
電気 | 楽天でんき | おうちでんき | auでんき | ドコモでんき |
ガス | 楽天ガス | ソフトバンクガス | auガス | |
↑通信・光熱費関連 | ||||
電子書籍 | Kobo | ブック放題 | auブックパス | コミックシーモア |
雑誌サブスク | 楽天マガジン | ブック放題 | auブックパス | dマガジン |
動画配信 | 楽天TV | TELESA | Lemino | |
音楽配信 | 楽天ミュージック | LINE MUSIC | Music Store | dミュージック |
旅行 | 楽天トラベル | Yahoo!トラベル 一休 |
じゃらん | |
↑娯楽分野 | ||||
加盟店数 | 約500万店 | 約374万店 | 約565万店 | 約448万店 |
総合ネット通販 | 楽天市場 | ヤフーショッピング | au PAYマーケット | dマーケット dショッピング |
グルメ | ぐるなび | PayPayグルメ | ホットペッパー | ホットペッパー |
コンビニ | ファミマ | ファミマ | ファミマ ローソン |
ファミマ ローソン |
おもなガソリン | 出光 | ENEOS | 昭和シェル | コスモ ENEOS |
↑日常的な小売り |
※以上のビジネス領域は意外とGAFAMや、日本の名門財閥(三菱、三井、住友)は強く踏み込んでいません。やはり昨今の経済圏ビジネスはスマホとネットが中心にありますから通信企業が勢力の中心にいます。

※イオン、nanaco、DMM、Sonyなどもグループとして上記と重複するような事業をいくつも展開していますが、事業の網羅性が高いのは上記4大経済圏です。もし今回の記事を5大経済圏にするならイオンが入ります。
※一昔前はTポイントが結構な勢力でしたが、最近では劣勢になりつつあります。やはりソフトバンクがTポイントから手を引いたのが大きかったでしょう。
※ポイントの付与率やキャッシュバックキャンペーン、どの店でどのポイントが使えるかは時代によって変わります。
スマホキャリアが経済圏選択の起点となる
現代人はスマホでネット情報を見てスマホで商品代金を決済してポイントをもらうという経済行動が多いです。
したがって、スマホキャリア(スマホ回線)についてどれを選ぶのかが経済圏を選ぶ際の起点となります。
もしスマホ料金は安いとしても、あなたの生活圏では電波状態が悪かったら、そのスマホキャリアは向いていません。
やはり自分の生活圏で電波状態が悪いとイライラしますからね。


楽天のようなネット中心の囲い込みビジネスでスマホ事業は起点になりますから、楽天の三木谷社長は楽天モバイルについてこだわるのでしょう。
楽天経済圏 | PayPay経済圏 (ソフトバンク系) |
au経済圏 | ドコモ経済圏 | |
スマホ | 楽天モバイル | ソフトバンク ワイモバイル LINEMO |
au povo UQモバイル |
ドコモ ahamo |
光回線 | 楽天ひかり | ソフトバンク光 | auひかり | ドコモ光 |
ホームルーター | Rakuten Turbo | SoftBank Air | auホームルーター | ドコモhome 5G |
電気 | 楽天でんき | おうちでんき | auでんき | ドコモでんき |
ガス | 楽天ガス | ソフトバンクガス | auガス |
- 3GBプランでおすすめ
楽天モバイル、LINEMO、povo、UQモバイル
- 20GBプランでおすすめ
ahamo、LINEMO
- 100GBを使う人
楽天モバイル、ahamo大盛り、povo
スマホは料金プランが自分の使用量と合っているほうがコスパは高いです。
スマホと光回線のセット割
以下のスマホ契約者がその系列の光回線やホームルーターを契約するとスマホ料金は割引されるか、ポイントは通常よりも多くつきます。
- 楽天モバイル
楽天ひかり
- ドコモのスマホ
ドコモ光、ドコモhome 5G
- auのスマホ、UQモバイル
auひかり(コミュファ光、eo光、ビッグエッグ光、ピカラ光、ビビック光)、auホームルーター
- ソフトバンクのスマホ、ワイモバイル
ソフトバンク光、ソフトバンクAir
スマホと光回線のセット割はおすすめの組み合わせですが、ahamo、povo、LINEMOはセット割の対象外。
この場合、GMOとくとくBBのようなセット割がなくて安い回線を選びましょう。
※光回線のポイントは契約時のみもらえるポイントと、月額料金の支払いに応じてもらえるポイント(還元率は1%くらい)とがあります。
お金持ちは集中させすぎるべきではない
次は金融分野について。
金融面でポイントの還元率を通常より高めるのによくあるパターン
- その経済圏対応のカードやポイントで支払い
- クレカはゴールド以上の会員になると割引や特典が増えるが年会費も上がる(無印<ゴールド<プラチナ、プレミアム<ブラック)
- 特定サービスの有料会員になる(PayPayならYahoo!プレミアム)
- 決済回数が多い
- 決済金額が大きい
- 同じ経済圏のクレカ、銀行、証券口座を連携させる
- 同じ経済圏のスマホ、ネット回線、電気代なども連携させる(格安スマホは例外あり)
- その経済圏が指定している曜日や日付に買い物する
要するに資産や買い物は1つの経済圏にまとめるほうがポイント獲得効率は高まります。
ただし、お金持ちが資産を預け入れる金融機関は分散させるべき。
もし、お金持ちが資産の預入先を1ヶ所に集中させていて、その1ヶ所に万が一のことが起きると大ダメージをくらうからです。
あとIPO(新規公開株)の当選を狙うには、できるだけ多くの会社で証券口座を開設して資金を入れて抽選数を多くするほうが有利です。
金融は手数料と金利だけで決めてはいけない
楽天経済圏 | PayPay経済圏 (ソフトバンク系) |
au経済圏 | ドコモ経済圏 | |
共通ポイント 有効期限(例外あり) |
楽天ポイント 獲得から翌年同月の前月末日 |
PayPayポイント 無期限 |
Ponta 最後のポイント加算・利用から1年 |
dポイント 獲得から48か月後の月末 |
年会費無料クレカ クレカ還元率 |
楽天カード 1%~ |
PayPayカード 1%~ |
au PAYカード 1%~ |
dカード 1%~ |
決済 | 楽天ペイ | PayPay | au PAY | d払い |
銀行 | 楽天銀行 | PayPay銀行 住信SBIネット銀行 |
auじぶん銀行 | |
証券 | 楽天証券 | PayPay証券 | auカブコム証券 | SMBC日興証券 |
保険 | 楽天保険 | PayPay保険 | au損保 | |
ふるさと納税 | 楽天ふるさと納税 | au PAYふるさと納税 | ふるさとチョイス |
- クレカの還元率
年会費無料版なら差がない(ゴールドやプラチナだとややこしくなる)
- 楽天銀行
コンビニATM手数料が最大で月7回まで無料、他行振込手数料が月3回まで無料
- auじぶん銀行
コンビニATM手数料が最大で月2~15回まで無料、同行や三菱UFJ銀行あての振込は無料
- 住信SBIネット銀行
コンビニATM手数料が最大で月5~20回まで無料、他行への振込手数料は月5回まで無料
- PayPay銀行
コンビニATM手数料は毎月1回目は無料
- ふるさと納税
楽天とauの還元率が高め
楽天銀行や住信SBIネット銀行は実店舗というコストをもたない分だけ金利や手数料を優遇できます。
その分、ネット専門の銀行のサポート対応は実店舗がある銀行に比べると弱いです。
銀行を選ぶときは基本的に金利と手数料が重要ですが、それだけでなく銀行の経営状態を見ることも大切。自分が預けている銀行が破綻したらいろいろまずいですからね。
現状で銀行は、楽天、住信SBIネット、auじぶんから選ぶのがいいでしょう。
証券会社はSBIが最強
証券会社は、手数料の安さ、IPOの多さ、商品数の多さでSBI証券がリードしています。
SBI証券は4大経済圏ではありませんが、口座開設は無料である以上、開設しておくのがおすすめ。
SBI証券と三井住友カードを連携するとSBI証券での積立額に応じて0.5~2%のポイントが付与されます。
SBI証券はネット証券ですから自宅に妙な営業が来ないのも評価できます。
娯楽分野を比較:経済圏にあまり縛られなくていい
楽天経済圏 | PayPay経済圏 (ソフトバンク系) |
au経済圏 | ドコモ経済圏 | |
電子書籍 | Kobo | ブック放題 | auブックパス | コミックシーモア |
雑誌サブスク | 楽天マガジン | ブック放題 | auブックパス | dマガジン |
動画配信 | 楽天TV | TELESA | Lemino | |
音楽配信 | 楽天ミュージック | LINE MUSIC | Music Store | dミュージック |
旅行 | 楽天トラベル | Yahoo!トラベル 一休 |
じゃらん |
- 4大経済圏以外の有力な電子書籍サイト
Amazon Kindle、LINEマンガ、Honto、ブックライブ、Reader
- 雑誌サブスク
タブホ
- 動画配信
U-NEXT、Hulu、Amazonプライム
- 音楽配信
Spotify、Amazon Music
娯楽分野は基本的に自分が好きなコンテンツが多いサービスを選ぶのが基本。
娯楽分野はポイント獲得の旨味は少ない場合が多いですから経済圏に縛られすぎないほうがいいでしょう。
楽天マガジンは月額418円で1000以上の雑誌が読み放題であるように、楽天経済圏以外の人にとっても魅力的。
電子書籍は初回購入だけはポイントが多めですが、その次からは少ないパターンが多いです。
電子書籍をあちこちで購入していると書籍の管理が面倒ですから、さまざまなサイトを使いすぎるのも考え物。
動画は見放題か単発購入かで違う
たとえば世界最大手の有料動画配信サービスであるネットフリックスは月額約1000円を支払えば見放題になります。
しかし、楽天TV、Lemino、TELESAはそういう全面的な見放題システムになっておらず、無料動画と、有料で単発購入する動画と、一部の動画シリーズのみ見放題パックが併存しています。
いろんな動画を見る人ならネットフリックスのような見放題プランのほうが安いですが、見放題プランだと日本の最新作品が少ないという欠点があります。
動画本数が少なくても安さを優先するならAmazonプライムがいいですね。
動画サブスクは観たいものがたまったタイミングで契約し、それらを一通り見終わったら解約するというサイクルを繰り返すとコスパよく使えます。
Amazon Prime(月額500円)みたいな安いサービスは通販にも使える以上ずっと入っていてもいいかもしれませんが。
ネット通販はAmazonと楽天の併用がおすすめ
楽天経済圏 | PayPay経済圏 (ソフトバンク系) |
au経済圏 | ドコモ経済圏 |
|
加盟店数 | 約500万店 | 約374万店 | 約565万店 | 約448万店 |
総合ネット通販 | 楽天市場 | ヤフーショッピング | au PAYマーケット | dマーケット dショッピング |
グルメ | ぐるなび | PayPayグルメ | ホットペッパー | ホットペッパー |
コンビニ | ファミマ | ファミマ | ファミマ ローソン |
ファミマ ローソン |
おもなガソリン | 出光 | ENEOS | 昭和シェル | コスモ ENEOS |
- 4大経済圏以外の有力な総合ネット通販
Amazon、ヨドバシカメラ
小売業に関して考えるべき要素は、その経済圏への加盟店数、商品価格、あなたが好む商品ジャンルの品揃え、送料、ポイント付与率など。
PayPayは個人店にも加盟が広がっているのがいいですね。
ネット通販の価格は総合的にはAmazonが安いと考えています。
しかし、ジャンルやタイミングによって楽天のほうが安い場合もありますし、楽天経済圏のユーザーにとって楽天市場はポイント付与率が高いです。
したがって、Amazonと楽天を併用するのが基本的にはいいでしょう。
au PAYマーケットは品揃えが微妙、ヤフーショッピングは送料も含めると価格が少し高いのが難点。
ポイントには罠がある
最後は経済圏とポイントの罠について。
たとえば10万円のパソコンを買ってポイント還元が10%つくと、結局は9万円で購入したことになります。
しかし、同じパソコンが別の販売サイトでポイント還元なしの8.5万円で売っていたら、こっちのほうが得です。
あるいはコンビニで買い物をする際は対応のポイントカードを提示するほうがお得かに見えますが、それよりもスーパーやドラッグストアで買うほうが安いです。
- コンビニのコーラ500ml
170円で2円還元だと実質168円
- スーパーマーケットのコーラ500ml
120円でポイントなし
要するにポイントカードをもっていてポイントを貯めることばかりを追求すると、価格を冷静に比較しないで買ってしまいやすいのです。

普通は買い物をするとついでにポイントが入ってくるものですが、ポイントを獲得するために買い物をするのでは無駄遣いになってしまいます。
本来の目的はお金を節約して買うことであって、ポイントを貯めたいばかりに割高な商品を買っては意味がありません。
まとめ
ポイントの提携先や付与率は時代によって変わりもします。
2022年では楽天の改悪が話題になりました。
そのため、ポイントカードには縛られすぎないことをおすすめします。