IT社会

ソシャゲはなぜ日本で人気になったのか

日本人はソシャゲ(ソーシャルゲーム)が好きです。

いわゆるスマホ歩きや、電車から降りるのに遅れた人の中にはソシャゲにハマっていた人も多いはず。

そこで今回は日本人はなぜソシャゲが好きなのか理由を見ていきましょう。

日本ってソシャゲのテレビCMが多いよね。
テレビをよく見る層とソシャゲが好きな層は同じなのかも。

日本人がソシャゲにハマる理由

そもそもソシャゲとはソーシャルゲームの略で、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を通じて提供されるオンラインゲームを意味します。

代表例としてはMobage、GREE、mixi、ハンゲームなどで配信されている各種ゲームが挙げられます。

ゲームの内容はRPG、パズル、スポーツ、恋愛シミュレーション、ギャンブルシミュレーションなど。

ただし、最近ではそういったサイト経由は関係なく「ソシャゲとはスマホでもできるお手軽ゲーム」という意味合いが強まっています。

ソシャゲの定義は曖昧だな。
個人がマイペースで進めるソシャゲ、個人同士が対戦するソシャゲ、個人がグループ単位で協力プレイするソシャゲなどソシャゲのプレイ人数は多様です。

ゲームに疎かった層もスマホをもつと一変した

ソシャゲの特徴、そしてソシャゲが日本人に好まれる点はおもにスマホを通じてプレイする点に見出すことができます。

いうまでもなくスマホは多機能です。そうなると、スマホがなかった時代ではゲームに興味がなかった人でもスマホを所有すると自然とゲームに興味をもちます。

1990年代後半のガラケーには大した機能はありませんでしたが、ガラケーにはいつしかカメラがつくようになり、それはスマホにも標準搭載されました。

スマホのカメラレンズ

これによって撮影は今までよりも手軽になり、写真文化はそれまでの専用カメラの時代よりも格段に広まりました。

それはインスタやTwitterの普及を見ても明らかなことです。

ゲームについてもスマホとともに裾野は広がったといえます。

ゲーム機はゲーム機としてしか使えませんが、スマホはさまざまな機能があるためゲームをやめたとしても用途が広いのです。

スマホだけでなくパソコンからでもプレイできるソシャゲは結構あります。

とくにChromebookだとAndroidスマホのゲームがやりやすいですよ。

ソシャゲはハイスペックではない魅力がある

一般にソシャゲは最先端の家庭用ゲームやPCゲームに比べるとグラフィックもゲーム性も操作性も高度ではありません。

家庭用ゲームというのはゲーム機本体とソフトとテレビ画面を使ったゲームを意味します。PS5はその典型。

3DSのような携帯ゲーム機も家庭用ゲームに含める説もあり。

小さくてゲーム以外にも用途をもつスマホと、ゲーム専用機であるPS5とでは性能が大きく異なるのは当たり前です。

ここでソシャゲの特徴として導かれるのが以下になります。

  1. ゲーム専用機やゲーミングPCを買わなくてもできる
  2. ゲームソフトを買わずにダウンロードだけで気軽に始められる
  3. 細切れの時間でもやりやすい
  4. イベントごとのワクワク感と競争感、ネバーエンドな感覚
  5. 他人と関わったり他人に見せつけることが快感
  6. 勝敗も人間関係も、そしてゲームをやめるのもお手軽
  7. 地味なゲームでも演出が気持ちいいと熱中しちゃう
  8. エフェクトでさえもコレクションしたくなる

上の特徴のうち1~3について解説しますと、まずPS5のゲームを楽しむにはPS5本体とソフトとテレビと電源が必要です。

しかし、ソシャゲはスマホ1台で始められますしソフトを買う必要もありません。

ゲームをプレイするためにはダウンロードが必要だとしても、基本プレイだけなら無料というパターンは多いです。

こういう体系だと、とりあえずゲームを試してみたくなる人が増えます。

たとえば私の知り合いだと年齢が60代になってから人生で初めてゲーム(ソシャゲ)にハマったという人がいます。

かつてのファミコンやプレステには見向きもしなかったのに。

Legionゲーミングノートとマウスとコントローラー

ゲーミングノート

電車通勤の環境はソシャゲと相性がいい

ソシャゲはグラフィックもゲーム性も複雑ではないのでスマホでも十分に動作します。

たとえば電車で移動している最中にちょっとプレイするという遊び方は、ソシャゲという複雑ではないゲームでこそ真価を発揮します。

日本の都会民は電車通勤する率が高く、車内での時間つぶしにソシャゲはぴったり。
満員電車という苦しい環境でもゲームが面白いと負担感は軽くなるもんね。

本格的なゲームは自宅の落ち着いた環境でゲーム専用のコントローラーを使いながらプレイしたがる人が多いです。

つまり、ソシャゲのお手軽感と電車の苦痛感は相性がよいのです。

風呂やトイレでソシャゲをやる人もいると聞く。
日本の風呂やトイレは狭いけど居心地がいいからね。防水仕様にもできるし。

イベントごとのワクワク感と競争感、ネバーエンドな感覚

次にさきほどの特徴のうち4の「イベントごとのワクワク感と競争感、ネバーエンドな感覚」について説明します。

そもそも家庭用ゲーム機のソフト(とくにRPGのようなストーリーに沿ったゲーム)はエンディングを見たら「そこで一旦おしまい」という感覚があります。

もちろん、それ以上やり込むのも自由ですが、プレイヤーは買ったときにソフトに組み込まれた範囲でしかプレイできません。

しかし、ソシャゲにおいては運営者がみんなを飽きさせないようにアップデート(更新作業)を行います。

アップデートに関して運営者は、みんなの参加率や課金率が高まるようなイベントも定期的に開催します。これによってプレイヤーのやる気をかきたてるのです。

そこではゲーム運営会社の都合による突然のサービス終了はあっても、家庭用ゲームのようなエンディングは見かけません。

このようにどこまでも続いていく感覚は家庭用ゲームでは味わいにくいところです。

「もったいない」を好む日本人からすると、家庭用ゲームのような有限の世界観よりも、ずっと続く世界観の方が受け入れやすいのかもしれません。

ただし、最近ではサービス開始から1年ほどでサービス終了になったソシャゲも見られます。

お金と労力を費やすと簡単にやめられなくなる

「もったいない」という感覚は「やめにくさ」にもつながります。

たとえば、今までに1時間だけ無料プレイしただけのゲームをやめるのはとくに抵抗がないものです。

しかし、時間やお金をたくさんつぎこんでしまうと内心ではやめたい気持ちが強いとしても「今やめるのはもったいない」と考えがちです。

ソシャゲはログインだけでアイテムがもらえるし、課金をやめると順位が下がるパターンが多い。
無課金ユーザーは課金ユーザーのおかげで無料で楽しめるようなもの。だれも課金しなかったら企業はサービスを終了するからね。
アイテムやキャラもインフレしやすいよね。これによって課金額は増えてしまいがち。

私は物書きでもありますので「課金」という言葉はひっかかります。課金とは供給側がプレイヤーにお金を課すものなので、プレイヤーが課金したというのはおかしいからです。

しかし、本記事では誤用版をわざと使うことにします。

他人に見せびらかすことができる

基本的にソーシャルゲームは他人とコミュニケーションがとりやすいようになっています。

この場合の他人とは、リアル世界の友人や同僚はもちろん、まったく知らない人も含まれます。

そこでは他人と情報やアイテムを交換したり、他人の状態(ランキング、成績、アバター、日記、コレクション、友人の数)を見るという機能があります。

ほかにもプレイヤーはゲームに関してチャットやブログ、そして外部サイトの掲示板で関連トピックなどを簡単につくることができます。

ソシャゲで自分の状態は他人から見られるものなので、スゴイ成績を出したり珍しいアイテムをもっていれば他人から羨望や尊敬の眼差しで見られます。

そしてソシャゲのアイテム獲得は基本的にはお金を課金すれば課金するほどよいアイテムが得られます。

つまり、プレイヤーはゲームのテクニックは多少欠けるとしてもお金をたくさん投じれば、ほぼ確実に目立つことができるのです。

芸能人や実業家として有名になるのはかなり大変ですが、一つのソシャゲ内で有名人になるのはそこまで大変ではありません。

ソシャゲを好む人の中にはこういう自慢や自己満足を求めている人も多いでしょう。

以上は家庭用ゲームでハイスコアを出す際に重要なのは自分のテクニックであり、ハイスコアを出したとしても自分だけの満足にとどまることとは対照的。

ソシャゲはニックネームでやる人が多いよな。本名は出さない傾向。
すごい成績を残して名前が載ったとしてもニックネームにすぎないのはもったいない?
重課金(廃課金)している人はお金持ちが意外と多いという説もあります。

クレカやスマホのキャリア決済だと支払いが簡単すぎるためつい課金しがち。

地味なゲームでもエフェクト次第では盛り上がる

たとえば将棋やトランプゲームのような古典的な(地味な)ゲームは実際の盤上でやるよりもソシャゲとして赤の他人とやるほうが楽しかったりします。

これは勝つと自分のレーティング(強さを示す数値)が全国レベルで上がるからとか、ゲーム内で特定の手を繰り出したタイミングでエフェクト(映像演出や効果音)が出て気持ちいいということが理由です。

火の斬撃

たとえばパズドラにしても派手なエフェクトがあるのとないのとでは大違い。

こういう音や光を駆使した演出による中毒性はパチンコのエフェクトと似ています。

昔のパチンコは地味だったのですが、2010年代のパチンコは中毒者を量産するような演出装置が盛りだくさんでした。

エフェクトでさえもコレクションしたがる

ソシャゲではアイテムやアバターの類はもちろん、そのゲームで出現する演出・エフェクトなんかもコレクションの対象になります。

そうなると「このゲームの演出をコンプ(コンプリート)したいから今はやめられない」「このエフェクトを出したいから課金する」みたいな感じで熱中してしまいます。

ちなみにこの類のコレクションは男性のほうが積極的です。

リアル社会でも骨董品とかおもちゃを集めているのは男性のほうが多いのと同じような現象でしょう。

日本に限らず男には収集癖があるんだよな。

ソシャゲは日本人の心の隙間を埋める

ここまではスマホやソシャゲのソフト面の特徴に沿った原因を解説してきました。

次に現代の日本社会の特徴に沿った原因を見ていきましょう。

というのも現代人は人間関係がどこか希薄です。学術的にいうと人間関係の希薄化は経済の発展や国家の都市化によって進むとされます。

それでは現代の日本人は濃密な人関関係を求めているかといえば、それは疑わしいです。

たとえば、現代の若手ビジネスマンは飲み会や社員旅行など社内での濃い人間関係を嫌っている節があります。

社員旅行に行きたくない?

かといって現代人は人間関係がまったく希薄なのも嫌っています。実際、友人や恋人をマッチングするインターネットサービスはそれなりに活況です。

つまり、日本人は自分の好きなカテゴリ内で気の合う人と「お手軽な(ゆるい)つながり」を欲しているといえます。

「お手軽なつながり」というのは人間関係を築くのも築いた人間関係を切り離すのもお手軽だということです。

これに関してソシャゲ内のコミュニティも大抵は気楽なもの。たがいに好きなゲームを介すれば会話も弾むというものです。

社会人は嫌いな人と付き合うことも重要ですが、日本の古い会社の人間関係は締め付けが強すぎるためソシャゲを好むのでしょう。

学生の間は好きなグループに所属していればいいんだけど、社会人はそうもいかない。

ギャンブル的なワクワク感

最後はギャンブルとの関連について。

というのも日本人はギャンブルが好きです。

いや、正確にいうと日本という国は人間のギャンブル好きを引き出す環境になっているともいえます。

その象徴がパチンコ・パチスロです。パチンコ店は全国各地の都市部の駅前、地方都市の幹線道路沿いでは高確率で営業しているからです。

そして、よく知られているようにソシャゲもまたガチャというギャンブルに似た要素が盛りだくさんです。

ガチャとは、ゲームの中で使えるアイテムを抽選式で買うこと。

ガチャは何が出るかわからない楽しみと、目的のアイテムが出るまではムキになって課金し続けるという欠点があります。

最近ではゲーム上位に入ったり抽選に当たるとAmazonギフト券がもらえるソシャゲもあります。

これは実利的ですが、上位に入るまでの課金や時間を考えると効率的ではありません。

まとめ:スマホユーザーもパソコンゲームを試してみよう

私はソシャゲだけでなく、PCゲームも少しプレイします。

スマホでソシャゲに熱中している人の中には「パソコンをもちたくないしパソコンゲームには興味がない」という人も多いでしょう。

確かにソシャゲはそれなりに面白いのですが、パソコンでやる本格ゲームもスマホとは違う要素があって面白いです。

食わず嫌いになるのではなくスマホユーザーもパソコンでゲームをやり始めてみてはいかがでしょうか

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