最近の投資は株式にしてもFXにしてもインターネットを通じて売買することが当たり前になっています。
証券会社の店頭に行っても金融商品を売買できますが、それだと手数料が高いため手数料の安いインターネットを使うようになっているのです。
現代ではインターネットに接続できる環境で、なおかつ金融機関がインターネット取引に対応していれば、パソコンでもスマホでもタブレットでも金融商品の売買(投資)は可能。
スマホ向けのトレードアプリもあります。
要するにインターネット取引にデバイスの種類は関係ないのです。証券口座の開設もスマホ1台で完結できます。
しかし、投資とひとくちに言っても投資期間によってはパソコンのほうが適している場合もあります。とくに短期投資には高性能のWindows系デスクトップパソコンが向いています。
そこでこのページでは株式の投資家でもある管理人が、投資とデバイス(パソコン、スマホ、タブレット)の関係、環境(とくにネット回線)、必要スペック、OS、セキュリティについて解説します。
MacやiPadユーザーも参考になりますよ。
投資にパソコンは必要?スマホやタブレットは使える?
投資とデバイスの関係で何よりも大事なのは、あなたの投資期間です。
- 短期
- スイングトレード
- 長期
短期投資としてはスキャルピング(秒~分単位の売買)、デイトレード(1日で手仕舞いにする売買)があります。
次にスイングトレードとは数日~数週間での売買を意味します。
長期投資はひとたび買ったら半年~数年は持ち続けておくような売買です。
短期投資はパソコンにこだわる必要がある
短期投資には高性能なデスクトップパソコンと普通レベルのモニター複数台と光回線が必要で、長期投資や投資信託はどんなデバイスやインターネット回線でも大丈夫というのが一般論です。
その中間路線であるスイングトレードなら、オンライン会議を行う普通のビジネスマンと同じようなスペックが適当。
スイングトレードのデバイスについては「これだ」といえる正解はありません。
投資期間別の難易度、どれが合うかは人によって違います。
投資の成功者にはバフェットみたいな超長期投資タイプもいれば、日本のcisさんみたいな短期投資タイプもいます。
短期投資(とくに株式)の画面に表示させる情報の例
- 証券会社の発注画面
- さまざまな銘柄の株価一覧
- ランキング
- 個別銘柄の板情報および気配
- 歩み値
- 個別銘柄のテクニカル分析多数
- 日経平均株価と日経平均先物
- マザーズ指数
- 海外市場の主要指数
- 外国為替
- 信用残
- Google検索(それぞれの企業のIR、大株主、投信の組み入れ銘柄、政治ニュース、Twitter情報などを検索する)
短期投資では以上のように情報の種類も量も多く表示させつつトレードするのが基本です。
なぜこんなにも多く表示させるかといえば、短期投資で狙うのは基本的に1日の中でボラティリティがあって(=価格の上下が大きくて)出来高が多い銘柄だから。
ボラティリティや出来高がないと短期投資では大きな利ザヤが生まれません。

ボラティリティと出来高のある銘柄の5分足チャート
値動きが激しい銘柄で勝つには多くの情報を把握して素早く注文することが必要であるため、画面を多く表示させるというわけ。
普通サイズのモニター1台に上記すべての情報を同時に表示させつつ、すばやく閲覧・判断・注文するのは無理があります。
そのため短期投資のトレーダーはPCモニターを3~8台くらい導入し、さまざまな情報を見ながら売買しているのです。


短期投資では値動きが穏やかな銘柄を狙うという手も一応あります。でも、穏やかな銘柄だと短期間では値幅を大きくとりにくいためポジションを次の日へと持ち越してしまいがち。
こういうポジション持ち越しが連続すると、もはや短期投資ではなくなっていきます。
短期投資の成功者は多画面ばかり
↑このような多画面表示(マルチディスプレイ)はデスクトップパソコンが得意とするところ。
そういった情報を見なくても短期投資自体は一応どんなデバイスでもできますが、さまざまな情報を見たほうが成功率は高まります。
短期の投資家は、激しい銘柄を相手にしながらパソコンの前に張り付くのが基本であるため兼業の人には難しいというのが一般論です。

実際、短期で成功した投資家について検索してみるとパソコン環境は当サイトで示した水準は満たしています。
成功した短期の投資家は充実したパソコン環境にいるのですから、まだ成功していない投資家がスマホだけで短期投資を成功させるのは難しいのです。
短期の投資家は光回線一択
短期投資はインターネット回線についても遅さと不安定さで有名なホームルーターやモバイルルーターは望ましくありません。
モバイルデータ通信も地下や高層ビルでは通信状態が悪い傾向にあります。
やはり光回線のほうが速くて安定しているため短期の投資家には適しています。
いざ売買データを送信しようとしたら回線が不安定で大損を被るとかイヤですからね。

短期投資は情報の量とユーザーによる同時的な情報確認と回線の速さが重要なのです。
光回線とてたまに通信障害が発生することがあります。
この場合、スマホのモバイルデータ通信なら使える可能性が高いので、パソコンユーザーもスマホで売買できるようにトレードアプリを入れておきましょう。
短期投資にはハイスペックのデスクトップが向いている
株価をはじめとして投資情報は刻々と変わります。
そういった大量の情報を複数画面に同時に表示させるには、パソコン本体が標準スペックは満たしていないと情報をスムーズに処理できません。
単に株価ボードと注文画面だけを表示させるなら低スペックでも大丈夫ですが、専用のトレーディングソフトの動作はそれなりのスペックが必要。
短期投資を本体1台・3画面以上でやるなら、パソコンの形状は分離型デスクトップに選ぶべき。
具体的には、CPUがインテルのCore i5~7あるいはAMDのRyzen5~7、メモリは16GB、ストレージはSSD256~512GBくらい。
さらにグラフィックボードというパーツが搭載されていないと3画面以上の出力ができません。
グラフィックボードのスペックは、高度なゲームや動画編集をしないのであれば低くても大丈夫。
複数のモニターを機能的につなげられるモニターアームも必要です。
モニターは解像度にこだわらないのであれば1台あたり1万5000~2.5万円くらい。モニターの液晶表示はグレアよりもノングレアがおすすめです。
ピボットとテンキーはおすすめ

縦置きと横置きのモニター
それから投資家にとっては横長のモニターを90度回転させて縦長にしたほうが、株価一覧は見やすい場合もあります。
これはピボットという機能ですが、一部のモニターにしかない機能です。
モニターを複数導入する場合は、その中の1画面が縦置き対応だといいでしょう。
※どんなデスクトップやノートパソコンでも計2画面はお手軽に実現できますが、短期投資で成功をめざすには2画面では少ないです(スイングならあり)。
※ノートパソコンを買うのならテンキーがついているほうが数字入力は速くておすすめ。証券コード、株数、指値、パスワードといった数字を素早く入力することは、短期投資の生命線です。
※テンキーは外付けとして導入することもできます。テンキーがついているノートパソコンは15.6インチ以上と大きいですから、外付けにするのもあり。

赤枠部分がテンキー。黄色い枠の数字キーよりも速く押しやすい。
まずは小さく始めてみよう
さきほどの、CPUがインテルのCore i5~7あるいはAMDのRyzen5~7、メモリは16GB、グラフィックボード搭載、そしてモニターは3画面以上というのはパソコンの中でも上位スペック。
モニターアームも含めると16万円はかかってしまいますし、場所も大きくとります。
しかも短期投資で継続的に勝ち続けるのは難しいうえに時間拘束も大きいです。
そうなると「短期投資を本格的に始めるのは難しいな」と思う人が多いでしょう。
そこでおすすめなのが、まずは長期投資用のパソコン環境を用意して小さく始めてみること。
長期投資用の環境でも短期投資のやり方は一応試せますし、短期投資の知識はつきますから小さく始めてみましょう。
初心者は投資額を少なめにして経験値と知識を積むことを優先すべきです。


長期投資はスマホやモバイルデータ通信でも大丈夫
そもそも長期投資は買う際に熟考し、ひとたび買ったら半年~数年はポジションを保ちます(空売りは短期~スイング向き)。
投資信託についても手数料の高さと運用のプロに任せることを考えると、ポジションを長きにわたって保ちます。
短期の投資家はテクニカルを重視するタイプが多いですが、長期の投資家はファンダメンタルズを重視して熟考するのが普通。
テクニカルとは今までの値動きをもとに株価を予想すること。ファンダメンタルズとは企業の業績や財務全般とお考えください。
長期の投資家は「○○社の売上・利益は上り調子だし、事業内容は時代に合っているから株価は上がる」みたいな見込みをもって株式を買います。
テクニカルや為替などはめまぐるしく変わりますが、個別銘柄のファンダメンタルズは決算や不祥事が出ない限りは大きく変わりにくいため熟考するだけの時間があります。


長期投資は時間的なゆとりが大きい
長期投資の売買についても指値を出し続けておけばいいだけ。これなら平日9時の寄付前(始値がつく前)に電車に乗っているときでも注文を出しておくことができます。
つまり長期投資は時間的なゆとりが大きいため、スマホやタブレットによる小さな1画面、そして回線はホームルーターやモバイルルーターでもやりやすいというわけ。
もちろんモバイルデータ通信でも問題ありません。
ただ、スマホによる小さな1画面で投資対象を調査するよりもパソコンで調査するほうが時間効率はいいです。
トレードアプリについてもパソコン向けのソフトのほうが機能は多いです。


自宅外ではスマホばかり使う人が自宅向けにパソコンを買うのなら、家族との共有を考慮してデスクトップにするのもいいですよ。
長期投資でも標準スペックを満たそう
長期投資ならインターネットにさえ接続できればデバイスはなんでも対応できます。
長期投資に使うパソコンはデスクトップでもノートでも低スペックで大丈夫ですが、パソコンは動画視聴やMicrosoft Officeなどにも使う以上、最低でも標準スペックは満たすのがおすすめ。
標準スペックとは、CPUがインテルのCore i3~5あるいはAMDのRyzen3~5、メモリは8GB、ストレージはSSD256GBくらいが目安になります。
これはテレワーク(とくにオンライン会議)もできるスペック。デスクトップモニターをもう1台買えば2画面にも簡単にできます。
スイングトレードのスペックとしてもこのくらいが適当です。
デスクトップ本体、あるいはノートパソコン本体の価格は安いメーカーで6.5万円~といったところ。
Celeronという低スペックだともっと安いのですが、投資をやる人にとってCeleronは割に合わない節約です。
Core i3ではなくCeleronを選んだ場合の節約額は1~2万円。Celeronは遅くて使いにくいです。
当サイト記事:各メーカーのパソコンを安く買う方法【セール情報】 |
投資にはWindowsとMacのどちらがいいか
次はOS(基本ソフト)をどうすべきかという点について。
というのもパソコンで金融商品を発注したり情報を閲覧する際のソフト(トレーディングツール)の対応OSは、Windowsならどの金融機関でも対応していますが、Macは対応が分かれるのです。

楽天証券のマーケットスピード(トレーディングツールの一種)の注意書き
大手の金融機関でさえもMacに対応していない場合は結構ありますから、Macユーザーは金融機関にアクセスしてmacOSの対応具合を調べるべき。
やはりWindowsのほうがオールラウンダー感が強いです。
Macはトレーディングツールには対応率が低いというだけで売買そのものはできます。
トレーディングツールは短期投資には必須で、長期投資には不要感が強いです。たとえばトレーディングツールには1画面につき100銘柄の株価をリアルタイム表示できますが、これは長期投資では必要ない機能です。
ハードウェアの構造としてもMacよりもWindow系の機種のほうが多画面にしやすいです。
投資をやるためにパソコンを買うならWindowsを買うべきであって、AppleのMacや数社が生産しているChromeBookは適していません。

スマホについてはiOSでもAndroidでも大差はなく対応していると思いますが、口座をもっている証券会社に一応確かめてみましょう。
セキュリティ対策:パソコンの場合
最後はセキュリティ問題について。投資は自分の大金を扱う以上、セキュリティはとても大事。
最近のWindowsはMicrosoft Defenderというセキュリティ機能がかなり有能であるため、違法サイトでダウンロードをしたり妙なリンクを開いたりしない限りは安全度が高いです。
macOSも似たようなものですから、有料のセキュリティソフトはほとんど必要ありません。
まあそれでも100%の安全性とはいえないので心配な人は有料のセキュリティソフトを買ってもいいでしょう。
セキュリティ対策:スマホやノートパソコンの場合
スマホのセキュリティはパソコンよりも弱いのが現状です。
さらに自宅ばかりで使うデスクトップパソコンと違ってスマホはどこかに忘れ物として紛失してしまいうるという欠点があります。
この場合、不正操作が怖いですから指紋認証や顔認証を使ってあなた以外の人には操作させないようにするのが基本です。
最近ではそういった生体認証でさえも穴がありますから、時代に合わせてセキュリティ対策は変えるべきところもあります。
スマホやタブレットは長期投資のデバイスとしては十分使えますが、投資の際はセキュリティに注意して使いましょう。


まとめ:おすすめスペック
- 短期投資のおすすめスペック
Windows10~11、デスクトップ、CPUはインテルのCore i5~7あるいはAMDのRyzen5~7、メモリは16GB~、ストレージはSSD256GB~、グラフィックボード搭載、モニターは3画面以上
- 長期投資のおすすめスペック
Windows10~11、デスクトップでもノートでもいい、CPUはインテルのCore i3~5あるいはAMDのRyzen3~5、メモリは8GB、ストレージはSSD256GB
短期投資と長期投資はPC環境も投資手法も別物です。
とくに初心者は少額でいろいろ試して知識と経験をつけながら、自分にどっちが合っているのかを見極めるといいですよ。

- 4画面まで対応のデスクトップ本体(モニターは別)
マウスコンピューターのMousePro(メモリは有料オプションで16GBを選ぶのがおすすめ)
- ハイスペック6画面セット(デスクトップとモニター6台)
「kabuパソ」 6画面セット
【ネット証券最大手、2022年6月にmacOS対応予定、IPOの取扱多し、手数料も安い】SBI証券
↓にある「★★」がついた記事においては「標準スペック」が長期投資向けのパソコンです。