タップできるもくじ
携帯電話の普及理由
- 携帯電話は本人同士が直接的につながるから外出先での待ち合わせや連絡に便利
- ケータイメールは固定電話にありがちな面倒さや恥ずかしさを回避できる
- 自分専用の端末だからプライバシーを守りやすい(自由恋愛の高まりと、あれをこっそり閲覧)
- 無線だから、移動しながらでも、外出先でも、わざわざ固定電話がある場所まで行かなくても、その場ですぐに通信できる
- かける時間帯の制約は固定電話よりも低い
- 1999年あたりから高校生で携帯電話をもっていないと仲間外れになりやすい状況になったから高校生は親に強くねだるようになった(とくに日本は同調圧力が強い)
- 赤外線通信による電話帳の登録機能が便利(アドレスは紙にメモしたり自分で覚える必要がなくなった)
- 公衆電話を使うには10円玉やテレホンカードが必要だが、携帯電話料金は1ヶ月ごとに口座振替やクレカなどで支払えばいいから楽
- メールは文字だけでなくアイコンとともにかわいく飾り立てられるようになりギャル人気が高まった
↑ユーザー側の利便性に沿った普及理由
↓供給側の技術革新に沿った普及理由
- 端末はレンタル制から買い切り制になって所有しやすくなった
- 1990年代後半からは端末が小型化して携帯しやすくなった
- 1990年代後半からは端末代も通信料も安くなった
- 1999年からはiモードといって携帯電話でインターネットを簡易的に使えるようになった
- 1999年にはカメラ付き携帯電話が登場しユーザーを魅了した
- 日本の場合、山奥や地下以外なら大抵はつながる
- 日本の平野部は人口密度が高いから携帯基地局の設置効率が高い
スマホの普及理由(携帯電話の普及理由と連続的に重複)
- スマホは、電話、辞書、時計、歩数計、カメラ、動画・音楽のプレイヤー、写真アルバム、電子書籍リーダー、新聞、手帳、名刺、カレンダー、クレカ、テレビ、地図帳、GPS・カーナビ、電卓、懐中電灯、ゲーム機などの諸機能がすべて小さなスマホ1台に入っていて超絶便利だから(所持品を電子的に合理化できる)
- 今の親世代は中高から携帯電話をもつようになった世代だから携帯端末の便利さをよく知っており、自分の子どもや離れて暮らす祖父母世代にもスマホを買ってあげやすい
- 今やスマホで出退勤を管理する企業もあったり携帯電話番号による認証もあるように、もはやスマホがないと普通の活動ができなくなりつつある
- 個人単位で安く楽しめる娯楽としてネット動画、ソシャゲ、電子書籍、各種アプリ、SNSが充実してきたのでスマホが余計手放せなくなった
- 新卒就活・転職、投資、副業といったビジネス系ジャンルは情報戦になっており、それらを優位にすすめるにはスマホが不可欠だと認識された
- PCのキーボードよりスマホのタッチパネルのほうがとっつきやすい
- PCも個人単位の便利な端末だが、スマホのほうが小型だから外出時はスマホを使いやすい
- 学校における固定電話での連絡網は個人情報保護の観点から廃止となりメール配信になったため、メールを作成・送受信できる端末が必要になった
↑ユーザー側の利便性に沿った普及理由
- 日本人はスマホを買えるだけの経済力と、全国各地に基地局を整備するだけの経済力がある(社会的要因)
↓供給側の技術革新や営業戦略に沿った普及理由
- スマホは1999年から存在したが、2007年にAppleがiPhoneを発売してからオシャレ感と使いやすさが上がり2010年あたりから急速に普及した
- iPhoneより安い端末としてAndroidスマホが各社から発売され、コスパを重視するユーザーに広まった
- 通信速度と通信料は全体的に改善されてきている
- スマホは自宅でも外出先でも光回線やホームルーターなしでネットに接続できる
- 携帯キャリアや家電量販店は従来の携帯電話をもっている人に営業をかけてスマホに転換させた↓
携帯電話⇒スマホという普及過程
現代のスマホ(スマートフォン)は構造的には携帯電話ではなくPCに近いのですが、先進国でスマホは従来の携帯電話・ガラケーや固定電話に置き換わるような形で普及していきました。
日本ではある日、突然、スマホが普及したわけではないのです(無から有が生まれたのではなく従来のモノが淘汰されてスマホに代わった)。
したがって、スマホの普及理由が知りたいのなら携帯電話の普及理由も知るべきです。
※途上国だと固定電話や携帯電話が普及しなかったのにスマホが急速に普及したエリアもあります。日本だと今でも固定電話しか使わない高齢者がおり、その人たち向けのサービス・設備も残しますが、固定電話が普及しなかった地域ではそういう段階を飛び越えてスマホが普及する場合があります。
※2000年前後では携帯電話でもインターネットは使えましたが、携帯電話は通話やメール機能を中心とした端末です。これは、ガラケーは画面が小さくて電話用の物理ボタンが常設されていることからも明らか。
一方、スマホは電話機能もありますが、電話ボタンは呼び出さない限り表示されないように、相対的に大きな画面でインターネットを使うことが中心になっています。
スマホや携帯電話はなぜ普及した?【理由を解説】
まずは携帯電話が普及した理由について。
これには固定電話の不便さが大きく絡んでいます(固定電話は「家と家」、携帯電話は「個と個」がつながる)。
生まれたときから携帯電話やスマホが存在していた世代としても、携帯電話やスマホが存在しない世界を想像してみてください。
参考:大まかな年表
- ポケベルが流行日本では1980~1990年代
- PHSやショートメールが流行日本では1998~2000年ごろ
PHSとは小出力の携帯電話みたいなモノ。PHSはその後も細々と継続していましたが2021年にサービス終了しました。
- ガラケーやメールが流行日本では2000~2009年ごろ(iモード登場は1999年)
- スマホやSNSが本格的に普及日本では2010年~(初代iPhone登場は2007年)
スマホの登場は1999年ですが、登場=普及にはなりませんでした。
iPhone登場でスマホの操作性とファッション性が格段に上がったのが大きいでしょう。
ケータイは恥ずかしさ対策やプライバシーにとって便利
携帯電話、スマホ、PC、ポケベルといった個人向け端末がない時代、たとえば若い男性が実家内部にいる意中の若い女性に声をかけるには、その家に直接的に出向くか、その家の固定電話機に電話する必要がありました。
ポケベルとは個人単位で所有する無線呼び出し機のこと。ポケベルは「至急電話ください」のような短いメッセージも送れました。
でも、家の固定電話機に電話をかけると、最初は目当ての女性以外の人が電話に出る可能性もありますから、かける側の男性としても、受ける側の女性としても恥ずかしいものがありました。
同性の友人宅の固定電話機にかけるとしてもこのような気まずさは多少なりあるでしょう。
これに関して個人単位で所有する端末として携帯電話があれば、携帯電話は基本的に本人以外は電話に出ない以上、もっと秘密裏に通信・恋愛できるというわけ。
固定電話の通話は家の中ですると周りの家族に聞こえたり干渉されたりしてしまいますが、携帯電話は無線ですから、それを公園など外部にもっていけば家族には秘密にできます。
あっち系を閲覧するにしても携帯電話やスマホのほうが秘密にしやすいです。
メール機能も恥ずかしさを回避しやすい
1990年代のPHSや携帯電話にはメール機能もついていました。
メールは、家族共有端末だと家族のだれかに見られてしまいますが、自分専用の携帯電話なら隠したりロックをかけることができます。
メールなら電話では直接言いにくいことも言えます。メールは恥ずかしがり屋でも使いやすいんです。
また公共交通の車内で通話は迷惑ですが、メールなら気軽に送受信できます。
日本は平地面積が狭くて人口密度が高いうえに公共交通機関の利用率が高いですから周りの目を気にする人が多いです。
大体、固定電話は着信音が鳴る設定にするのが基本ですから夜~早朝の時間帯はかけるのが迷惑。
この点、携帯電話でもかける時間帯にマナー的な限度はありますが固定電話よりは迷惑になりにくいです。
携帯電話は着信音なしでバイブレーション設定にしてメールでやり取りする手もありますし。
マップデータは刻々と更新される
さらに道や電車ルートに迷ったとき、見知らぬ人に聞いたり地図案内板を見るより、携帯電話経由の電子データに案内してもらうほうが手っ取り早いでしょう(このほうが恥ずかしくない)。
たとえば紙製地図はいずれ陳腐化していきますが、Googleマップは刻々と更新されますから便利(それでも最新事情が反映されているとは限らないが…)。
移動にタクシーを使うにしても、大通りに出て自分で流しのタクシーを呼び止めたり、わざわざ固定電話や公衆電話のところに行くより、携帯電話で手配するほうが手っ取り早いです。
119番のような緊急通報にしても、その場ですぐに通報するほうが救命率は高まります。
そのため、昔から「自分だけの携帯電話があったらいいのにな」という欲求はかなりありました。
携帯電話は待ち合わせにも便利
また個人単位の端末がない時代では各地の駅に緑色の伝言板(学校の黒板の小型版みたいなモノ)が置いてありました。
伝言板にチョークで文字を書き込むことで不都合を知らせることができましたが、伝言板は待ち合わせにとって不便やすれ違いが多かったです。
残念なことに街中に自由に開放されている伝言板はイタズラも多いですから。
こういう外出先の待ち合わせでも本人同士がすぐにつながれる携帯電話は待望の存在でした。
技術力が高まり端末代や通信料が下がった
昔から「自分専用の携帯電話があったらいいのにな」という欲求はあったものの、1980年代の携帯電話はサイズがかなり大きいうえに、通話料もかなり高いものでした。
80年代の携帯電話はサラリーマンのビジネスバッグと同じくらいのサイズがありましたから。
この時代の携帯電話は、大物ビジネスマンが自分の高級車の中に設置して移動しながら商談するために使うなど、庶民にとって高嶺の花でした。
しかし、技術が発展するとPHSや携帯電話のサイズは小型化するとともに、一般人でも手に入れやすい端末価格にまで下がってきました。
これは1998〜2000年あたりの事情です。
NTTやDDI(のちのKDDI)といった通信事業者としても、消費者の需要にこたえて自分達の通信ビジネスを展開して利益を得るべく通信インフラを整えていきました。
スマホやネット回線の整備にはお金がかかる
基本的に携帯電話やスマホは屋外に設置されている基地局を経由して通信する仕組みです。
基地局は日本だけで何万基とあるように費用もかなりかかっていますが、日本の平野部は人口密度が高いため携帯キャリアにとって基地局への設備投資効率が高いです。
日本は平野部では携帯電話がつながりやすいことも携帯電話の普及に貢献しました。
したがって、お金のない国は大都市では基地局やネット回線を整備するとしても地方では厳しくなります。
ただ、それでも基地局のほうが固定電話(メタル回線)や光ファイバー(光回線)のような有線よりはまだ整備しやすいかもしれません。
携帯電話からスマホへ
80年代~90年代前半に普及していたポケベルは基本的に文字だけを入力するものでした。
次に1990年代後半に普及しつつあったPHSや携帯電話はメールや通話がおもに使う機能でした。
これに関して、1990年代後半からはメールにちょっとした動きがあるカラフルなアイコンを織り交ぜられるようになりました。
とくに2000年前後は浜崎あゆみさんと「モーニング娘。」のようなギャル文化が色濃い時代であり、若い世代にはギャルっぽいデコメに人気がありました。
このころからPHSや携帯電話などをもっていない高校生はクラスで疎外感をもちやすくなったように思います。
1999年からはiモードという簡易的なインターネット閲覧モードが普及し始め、端末の性能がどんどん上がっていきました。
2007年のiPhone登場あたりからはスマホのオシャレ感が向上し、スマホにもPCに近い性能をもたせられるようになりました。
iPhone発売日の過熱ぶりが知名度を上げた
初代iPhone~iPhone7あたりまでの新型iPhone発売日、各地のAppleストアの前にはテンションの高いAppleファンが徹夜で行列をつくるため、マスコミはそれを報道していました。
まだiPhoneの凄さを体感していなかった人はその報道を見て「スマホの新発売であんな行列ができるなんてどんだけ~?」という感じで見ており、iPhoneの知名度は着実に上がりました。
そこでは「乗るしかない、このビッグウェーブに」という名言も生まれましたが、iPhone黎明期には買うべきはiPhoneというよりAppleの株式だったでしょう。
※iPhoneはスマホの中でも高性能・高価格な機種。したがって、iPhoneの普及率が高い国は経済力がある先進国であって、中流~途上国ではAndroidスマホのほうが普及しています。
※かつてAppleのカリスマであるスティーブ・ジョブズという故人は地球の人々それぞれがPCをもつ世界を実現したがっていました。
それはPCという形では実現しませんでしたが、スマホという形では実現しました。まあ現代のスマホは「小さなPC」なんですけどね。
個人単位で娯楽が楽しめる時代
スマホやPCが今ほど普及していない時代では、テレビは一家に1台を居間に設置するパターンが多かったです。
しかし、テレビが一家に1台だけだと、みんなで同じテレビ番組を見るしかありませんでした。
この点、今のスマホなら家族それぞれが同時に別々のネット動画、ゲーム、テレビ番組、SNSを見られるようになりました。
こういう娯楽の利便性と個別性の向上は消費者にとって魅力的ですからスマホの普及に一役買いました。
かつて日本で大人気だったプロ野球の巨人戦の地上波中継がなくなったのも、そういう娯楽の個別化が大きく影響しています。
人々の娯楽は昔よりも分散化・多様化したのです。
スマホの普及の裏には、固定電話、紙製の新聞・辞書・写真アルバム、時計、一眼カメラ、ラジカセなどの普及率を下げ、街中の書店や証券会社を廃業に追いやった面もあります。
たとえば普通の一眼カメラを買おうとしていた人の中には「スマホのほうが小さくて多機能だから一眼カメラはやめてiPhoneにしよう」という感じでスマホを選ぶパターンもありますから。
娯楽や投資を始めるハードルが下がった
昔はゲームをやるならゲーム機を買うしかありませんでしたが、今ではスマホでゲームを簡単に始めることができます。
これによって従来とは違う層のゲーマーが多数生まれました。
2019年あたりからは「老後2000万円問題」とともに日本でも副業や資産運用の必要性が強く認識され始め、そこでも人々はスマホを利用しました。
スマホを使った副業としては、インスタグラム、ポイ活、アンケートモニター、せどり、動画投稿、そしてココナラのようなスキル販売サイトが挙げられます。若い女性レベルだと90年代からは携帯経由のパパ活が問題視されていました。
前にスマホや携帯電話はプライバシー保護に有用だと述べましたが(周りにバレにくい)、悪質な勧誘を周りに相談することなく信じたために被害にあったという欠点もあります(周りにバレたころには手遅れの場合あり)。
とくにスマホが金融口座との紐づけもされているなら注意が必要。
主観的な幸福度の高さで有名だったブータン王国の人々は、スマホやPCが普及してから他人や外国人との違いがわかってしまい、主観的な幸福度が下がったといわれています。
格安スマホが普及した理由
一昔前の携帯キャリアといえば、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社。
しかし、昨今ではその3社に楽天モバイルが加わりました。
またイオン(小売業)やHIS(旅行業)といった通信事業を主力としていない事業者としては、ドコモやソフトバンクなどから回線を借りて格安スマホ(SIM)事業を営んでいます。
このように携帯キャリア業界には新規参入者が相次いだことで競争は高まったために、通信量の割に通信料金は下がりました。
昔は画像や動画の通信料が高かったのですが、昨今はかなり安くなっています。
楽天モバイルなんて無制限で月額料金は3000円ちょっとですからね。
基地局経由の通話料は昔と大差ありませんが、Wi-Fiを経由すれば通信料を大きく抑えられます。
現在では、かけ放題プランなんてのも充実しています。
格安スマホが普及しない理由
格安スマホが普及しきらない理由としては以下のとおり。
- 実店舗で取り扱いやサポートが少ないからよく知らない
- オンラインでの手続きがよくわからない
- 通信速度が遅い
MVNOといって回線を借りるタイプの格安スマホの速度は確かに少し遅いのですが、ahamo、povo、LINEMOみたいな大手キャリアの安いブランドなら遅くないんですけどね。