たとえばAさんはパソコンをGoogle検索、SNS、メール、ネット通販、Officeソフト、ブログ作成、オンライン会議にしか使わない人の場合、パソコンのスペックは当サイトでいうところの標準スペックで大丈夫。
パソコンやスマホで高いスペックを必要とする動作はクリエイターソフト(動画編集、音楽制作、3D制作)や3Dゲーム、高度なシミュレーションですから、そういったことをやらない人は標準スペックでいいのです。
オーバースペック(過剰性能)のパソコンやスマホが売れることはメーカーや販売店にとってはうれしいですが、消費者にとっては無駄な出費に見えます。
しかし、明らかなオーバースペックはよくないとしても、少しのオーバースペックなら問題ない場合も多々あります。
記事後半では進化の限界についても述べています。
※オーバースペックは和製英語であり、本来はオーバーエンジニア(overengineer)を使います。
※オーバースペックのデメリットといえば高価であることが筆頭ですが、ほかにも高い消費電力や発熱、動作音といったデメリットもあるんですよ。
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パソコンやスマホのオーバースペックは無駄なの?
オーバースペックが多いメーカーといえばAppleです。
なんとAppleが生産する最新モデルの端末は低スペックにあたる製品がないのです(古いモデルなら低スペックもある)。
これはMacだけでなくAppleのiPhoneやiPad(とくにProやPro Max)にもいえること。iPhoneはSEシリーズでさえもスペックは少し高いでしょう。
↑WindowsパソコンやAndroidスマホはさまざまなメーカーが生産していますから低スペック〜ハイスペックまで幅広く選べます。
これだと選び方が正しければオーバースペックになりにくいです。
ただ、AndroidスマホはOSのサポート期間がiPhoneより短いのが欠点ですね。
スマホの使い方とオーバースペック
- 通話、LINE、Twitter、メール、Google検索、ネット通販、簡単なゲーム、YouTubeを見る、電子書籍を読む、音楽を聴く、カメラでちょっと撮影
- 上記に加えて動画の撮影と編集をやるし、画質やゲームにこだわる
スマホユーザーは1番のタイプが圧倒的に多いはずですが、現在の最新機種、とくにiPhoneは2番に合わせた製品が多いです。
これではオーバースペックに感じる人が多くなるのは当たり前。
Appleがオーバースペックを好む理由
Appleは今までにPC・スマホ業界の最先端を切り開いてきましたし、世界屈指の時価総額と売上高を誇る巨大企業ですから、今さら低スペックの廉価版を発売したがらないのです。
基本的にMacやiPhone、iPadは動作速度だけでなく音質や画質までも高いです。
まあ、そうはいってもOfficeソフトを使うくらいでは高い音質や画質を生かせませんから、Apple製品の優れたスペックを生かせるのはクリエイターソフトを使う人だといえます。
安いWindowsパソコンだと基本的に筐体(ケース)はプラスチック製ですが、Macみたいな高いパソコンはアルミ製やマグネシウム合金製です。
iPhone15においてはチタン製も登場しました。
- Apple iPhone SE2なら2025年頃まで使えるiPhone SE2の整備済み品が約2.6万円
- XiaomiのAndroidスマホ Redmi12Cが約1.4万円(約6.7インチと大きめ)
オーバースペックのメリット
- スペックを必要とする新たなことをやりたくなっても対応できる(新たなソフトが発売されても対応しやすい)
- ロマンがあるし、ハイスペック機は見た目もカッコいいからテンションが上がる
- 動作速度だけでなく音質や画質もいい
- 他人の端末スペックが自分のより低いと「オレのが上だ」と心の中でマウントをとれる
- 企業の売上および利益により大きく貢献する
たとえば普通のブロガーが使うパソコンは標準スペックで大丈夫。
しかし、最近のブログ運営はYouTubeと組み合わせるほうが大きな成果に結びつきやすいです。
動画編集を行うには標準より少し上のスペックがあることが望ましいですから、ブロガーは将来の動画編集を見据えて少しオーバースペックのパソコンを買うべきともいえます。
セキュリティソフトと端末性能の関係
昔のパソコンはOS(WindowsやiOSのような基本ソフト)とは別に何らかのセキュリティソフトをインストールすることが当たり前でした。
しかし、現在ではパソコンもスマホもOSに標準搭載しているセキュリティ対策機能の性能はそれなりに優れています。
セキュリティソフトは基本的に動作が重いです。
時代を経るごとにコンピュータウイルスの質とOSのセキュリティ機能の質が上がったのに(=重くなったのに)現代の端末が速く動作するのは、それだけ端末自体の性能も上がったからです。
ハイスペックスマホは自慢になる?
iPhoneは、ホームボタンの有無、エッジの形、LightningかUSB Type-Cか、背面ロゴ、色、ノッチ、サイズ、レンズなどをよく見ると世代差やスペックがわかります。
言い換えると、他人はよく見ない限りiPhoneの世代差なんてわかりせんから、ハイスペック機種をもっていても自慢しにくいでしょう。
ちなみに数あるスマホの中でもXperiaは縦横比率が21:9と際立って細長いため判別しやすいです。
オーバースペックのデメリット
- 端末の購入費が大きくなる(それが無駄に終わるか否かはその後の使い方次第)
- 発熱と消費電力が大きくなる(熱を帯びた端末を人体に直接接触させ続けていると炎症や低温やけどになる場合あり)
- ノートPCなら動作音と冷却装置が大きくなるうえに本体と充電器も重くなる(スマホもスペックが高いほど電池が重い傾向)
- iPhoneのようなスマホの場合、サイズが大きくなるとともにカメラ部分が分厚くなる(ケースも厚くなるしポケットに入りにくくなる)
- デスクトップPCならタワーサイズが大きくなる
- 高負荷のせいで寿命減になる場合もある
- 高価な機種はとくに海外で窃盗のターゲットになりやすい
- カメラの画質が高いがゆえに、自宅周辺や出かけた場所で写真を撮ってSNSに投稿すると特定されやすい(瞳に反射した風景から特定した事件あり)(盗撮みたいな犯罪も手軽にしやすくなってしまった)
オーバースペックは個人的で自由な選択問題ですが、盗撮や位置特定となると社会問題だといえます。
たとえば大衆車とスポーツカーの違いを頭の中で思い浮かべてみてください。
スポーツカーのほうが最高速度が高いようにエンジンの出力が大きいですよね(スポーツカーの燃料はハイオク)。
そのためスポーツカーは発熱とエンジン音が大きいですし、燃費は下がります。
パソコンやスマホもこれと同じでスペックが高いと動作速度は速くなるものの、それだけ本体価格と発熱と消費電力も大きくなります。
消費電力が大きくても一定のバッテリー駆動時間を確保するには、バッテリーを重くするしかありませんから、スペックが高いノートPCやスマホは基本的に重量が大きいです。
ノートPCの場合、スペックが高いと充電器のサイズも大きくなりますし、大きな熱を冷やすための装置のサイズと冷却音も大きくなります。
ビジネスマンや大学生のように頻繁にノートPCを持ち運ぶ人にとっては重いPCや充電器は避けたいモノです。
ちなみにiPhone15の初期ロット(量産化初期の製品)は熱問題が生じました。インテルの新型CPUもWindows11との関連で問題が生じました。
スマホやPCについて初期ロットを買うのはちょっとした冒険なのかもしれません。
スペックとサイズは比例しやすい
やはりハイスペックPCのほうがサイズは基本的に大きいです。
デスクトップPCならスペックが高いほどケース(筐体、タワー)のサイズも大きくなります。
とくにフルタワーのサイズは個人宅のエアコンの室外機に近いサイズがありますから、フルタワーのデスクトップPCは要注意ですよ。
PCやスマホは少しオーバースペックを買ってもいいのですが、明らかにオーバースペックだとよくないのは、このあたりのサイズ感・重量感と熱量に問題が生じることにあります。
PCやスマホのスペックが高いと高負荷をかけたくなりますが、高負荷ばかりかけていると、それだけ寿命は早く訪れます。
機械類の中でも新幹線が普通の電車より高価なのに寿命が短いのもそういった高負荷が原因です。
最近のハイスペックノートのCPUやGPUはデスクトップPCに近い性能がありますが、寿命はデスクトップよりも短いです。
これ以上の進化はオーバースペックか
電話機の進化
- 固定電話
- ショルダーフォン(車外兼用型自動車電話)
- コードレス電話、固定電話子機
- PHS
- ガラケー
- スマホ(電話機というより小さなPC)
初代〜6代目のiPhoneが新たに発売された日は各地のApple Storeの前に行列ができたものです。
あの当時は新型iPhoneに対する期待と話題性がまだ大きかったため、Apple信者はわざわざ徹夜で並ぶなど高いテンションをもっていたといえます。
しかし、最近ではそういった行列は消えました。
よくも悪くも最近のiPhoneは成熟したように昔ほどの革新性・目新しさがなくなったからでしょう。
Macも以前ほどの革新性はなくなりました。
以上はPC・スマホ全体の進化が止まったことを示唆しているのかもしれません。
一応、PC・スマホの進化は頭打ちではないのですが、それにはツッコミどころも結構あります。
参考:すでにAndroidで実現した革新的なスマホ
- 材質がチタン(飛行機に使われているようにチタンは軽くて丈夫)
- 折りたたみスマホ(2面折りたたみ、3面折りたたみ)
- 曲面ディスプレイ
- タフネススマホ(頑丈なスマホ)(ノートPCでもPanasonicのタフブックは頑丈かつ高価で有名)
- 1台で2つのディスプレイ(ノートPCでも1台で2つ以上のディスプレイ搭載の製品はある)
- 超小型スマホ(ノートPCでも超小型機がある)
- カメラが回転する
Appleは次世代のウェアラブル端末としてスマートウォッチやスマートグラス(メガネ)を開発しています。
スマホやPCの進化【限界はなくても割に合わないかも】
スマホやPCで今後ありそうな改善パターン
- バッテリー性能を上げる
- カメラ性能を上げる
- 立体映像を投影する
- 透明モニター
- デスクトップPCの場合、本体の片側側面に何かを映し出す
- AI(人工知能)がますます浸透する
- 脳波で制御する(ブレイン・マシン・インタフェース)
スマホやPCに特殊な機能をつけると、消費者からは消費電力が大きくなる、余計な機能をつけないで端末価格を下げろ、といわれやすいです。
この点、単にバッテリー効率が上がるとすれば欲しがる人は一定数いるでしょう。
しかし、バッテリー効率が上がっただけでは革新的とはいえませんし、爆発的に売れるとも思えません。
スピーカーや音質を上げる
通話時の音質を上げるという策も考えられます。やはり肉声と通話時の声って違って聞こえますからね。
スマホの通話音声は合成系の音声であり、これは端末というより通信キャリアの技術領域です。
さらにカメラ性能も上げればスマホやPCのビデオ通話は臨場感あふれるものになります。
昨今のiPhoneは映画並みの画質だとAppleは宣伝していますが、カメラだけの性能(とくに望遠性能)で見たらスマホより一眼カメラのほうが高いです。
スマホやPCのカメラ性能が上がったところで革新的といえるかは微妙ですけどね。
大体、カメラの性能が高い20万円のスマホよりも、カメラの性能が普通レベルで4万円のスマホのほうが売れるでしょう。
スマホはどんなスペックだろうと本体とカメラが一体的な構造ですから、スマホの買い替え時はカメラも強制的に別のものになります。これはスペックが高いほどもったいない感じがします。
しかし、スマホと一眼カメラを併用するのであれば別々に修理したり買い替えることができます(この場合スマホカメラはハイスペックでなくていい)。カメラにこだわるのであれば、別々のほうがいいでしょう。
ちなみに個人的にはスマホは数年での使い捨て感が強くて愛着がわきにくいですが、一眼カメラは使えば使うほど愛着が出てきます。
デスクトップPCのモニターは内蔵スピーカーよりも外付けのほうが音質はいいですが、これだとスピーカーが邪魔です。
もし内蔵スピーカーの性能が上がれば、そういった外付けがなくなり省スペースになります。
人工知能のさらなる浸透
たとえばYouTubeで解説系の動画を撮影する際、発信者はカメラ目線がいいとされています。
私自身もYouTuberの端くれ。
しかし、原稿なしでも話せるスキルがある人以外は原稿を読みながらの撮影になりますが、これだとカメラ目線が難しいのです。
プロンプターという機械を導入すれば原稿を読みながらカメラ目線にできますが、プロンプターはお金がかかりますし場所もとります。
この点、昨今だとプロンプターを使わずに文書を見ながら話しているのに、自動的にカメラ目線にしてくれるAI技術があります。
この類の技術を滑らかに使うにはPCに高めのスペックが必要です(グラボが必要)。
立体映像はPC向けの娯楽
次に考えられるのは端末から立体映像を投写する機能です。
それはSF映画『スターウォーズ』ではレイア姫が助けをもとめてホログラムが投影されているシーンとして有名。私自身もこのシーンはいかにも未来的で大好きです。
この立体映像技術によって動画やゲームは大きく発展する余地もあります。
たとえば立体映像としての格闘ゲームやスーパーマリオが発売されたら売れるでしょう。
しかし、スマホよりPCのほうが画面は大きくて迫力がありますし、機械として処理能力も上であるため、立体映像はPCのほうが向いています。
スマホの薄くて小さいボディではゲーミングPC(高性能PC)並みの処理能力は出せないかもしれません。
透明モニターは割に合わない?
透明モニターは下記動画のように技術はある程度確立していますが、コストの割に需要があるかが難しいところ。
現状ではかなりの高価格になるため普及させるのが難しいです。
デスクトップPCのハイスペックモデルだと側面の片方が透明ですから、その透明部分に何かを映し出すのもありえる進化です。
スマホやPCで進化が否定されるパターン
- 人々の需要がない
- 技術的に不可能
- 技術的に可能だとしてもコストがかかりすぎるなど割に合わない
たとえば有機ELなら薄くてカッコいい壁掛けモニターを実現できますが、価格は高いため普及しにくいです。
さらに有機ELは焼き付きが残りやすいという欠点もあります。
ブレイン・マシン・インタフェース
最後はブレイン・マシン・インタフェースについて。
ブレイン・マシン・インタフェース(=BMI)とは人間が念じるだけで機械を動かせる操作法のこと。
タッチパネル、キーボード、マウス、音声入力などは使わず、人間が実現したいことを心の中で思うだけでいいのです。
これは機械で人間の脳波を読み取る操作法であり、脳波を読み取る研究は各国で行われています。
ブレイン・マシン・インタフェースを搭載したスマホが実用化できれば、うまく手を動かせない障がい者、声を出せない人、高齢者にとって役立ちます。
その意味ではかなり革新的です。
自動車の自動運転なんかもブレイン・マシン・インタフェースで補助すれば実現しやすいのかもしれません。
※最近の地下鉄は先頭車に人間が乗って運転しているように見えても、乗務員が発着のたびにボタンを押して監視しているだけで運転は自動化されているパターンもあります。
※ジェスチャーコントロールといって、モニターやテレビのカメラの前で特定の形で手を動かすことで電源をオンオフにできる機能はすでに存在します。
イメコンの重大な欠点:そのオーバースペックは致命的?
ドラえもんのアニメ映画『のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)』では、ブレイン・マシン・インタフェースはイメコン(イメージコントローラ、イメージコンピュータ)という形で示されていました。
イメコンはあらゆる機械をリモートで自由に動かせるため、それに頼った人間は身体を動かさなくなるなど大きく堕落してしまうことがその映画では指摘されていました。
この映画で人間が堕落してからは、ナポギストラーという悪者ロボットが社会の覇権を握って人間を絶滅の淵まで追い詰めました。
それはまるで『ターミネーター』の世界観のようですが、昨今のAI(人工知能)情勢を見ていると現実化してしまうこともありえるのかもしれません。
一時的な衝動をも読み取ってもらうのは困る
人間は内面では「●●という犯罪がしたい」と思うことが衝動的にあります。
しかし、多くの人間は「それは犯罪だからダメだ」と理性的に踏み留まります。
でも、イメコンはそういう一時的な衝動をも読み取って学習するなど悪いほうへ動いてしまうのかもしれません。
たとえばロシアのプーチン大統領がイメコンを使ったら核兵器が飛び交って世界が終わるかもしれませんもの。