今回は光ファイバーとは何か、光回線とは何か、光ファイバーと光回線の違い、さらに光回線サービスの全体像についてわかりやすく解説します。
簡単に言うと光ファイバーは高性能ケーブルで、光回線は光ファイバーをもとにしたインターネット回線の一種だといえます。
タップできるもくじ
光ファイバーとは?【光回線との違いをわかりやすく】
光ファイバーとはおもに高性能のガラスやプラスチックでできたケーブルのこと。
光ファイバーは英語でoptical fiberといいます。fiberは繊維(編まれたモノ、束ねたモノ)を意味します。
光ファイバーの通信過程では、通信するデータは光信号へと変換され、その光は光ファイバーの中で反射・屈折しながら高速で進みます。
つまり、光ファイバーは光が進む際の道みたいなもの(=光の伝送路)。
光ファイバーの構造は重層的
一般に光ファイバーの構造においてはまず髪の毛の太さくらいの芯(コア)があり、その周りがクラッドと呼ばれる部分で、それらを保護するように被覆素材として樹脂がついています。
コアの光の屈折率は高い一方で、クラッドの光の屈折率は低いです。
このような線をいくつか束ねて、さらに実際の使用に耐えられるようにコーティングしたのが、実用レベルの光ファイバーです。
光ファイバーは周りの電磁気ノイズに対して強く、データ量が多くても高速で安定した長距離の伝送ができます。
ノイズとは、この場合、本来の通信目的を邪魔するような電気・電磁波や信号だとお考えください。
光ファイバーと電話線と電力線の見分け方
らせん状のワイヤーは「スパイラルハンガー」などと呼ばれ、その中に光ファイバーは架かっています。
ちなみに黒やグレーの箱はクロージャーといって光ファイバーの分岐点や接続点であり、その付近を保護します。
※光ファイバー向けだとしても黒色のクロージャーもあります。
光回線は光ファイバーを使ったインターネット回線
次は光回線について。
電話をかけるには電話機と電話回線が必要なように、パソコンやテレビなどでインターネットに接続するにはインターネット回線が必要です。
インターネット回線とはインターネットを使うための線のこと。
光回線とは光ファイバーを付随する設備とともに各地に張り巡らせたうえで使う有線の高速インターネット回線のこと。
光回線はインターネット回線の一種であり、光ファイバーの実用的な発展形なのです。
今時、電気を契約しない家はほとんどないでしょう。一方、光回線を契約しない家はそれなりにあります。
光回線を引かなくても自宅のインターネットはスマホだけで間に合う世帯もあるからです。
国と国をむすぶ光ファイバーもある
世の中には海底ケーブルといって浅海・深海の底に敷設されている国際的な光ファイバーもあります。
海底ケーブルは深海のすごい水圧にも耐えられるように電信柱の光ファイバーよりも分厚いコーティングがなされています。
光回線の仕組み図解:屋内では無線化できる
光回線は屋外では有線ですが、屋内では無線LANルーターという機器を使うと無線化できます。
デスクトップPCを使う際はLANケーブルで有線接続する場合も結構多いです。
光ファイバーと光回線サービスの違い
光ファイバーと光回線サービスの違いは、鉄道でいう線路と鉄道業の違いみたいなものと言えるかもしれません。
鉄道を運行するには、線路、架線、車両、駅、券売機、信号、車庫、変電所といった設備、運転士・車掌、駅員、運行管理者、保線員、整備士といった人員が数多く必要です。
ほかにも鉄道業に収益性をもたせるために、沿線開発、広告営業、広報なども必要。
さらに私企業である鉄道会社が無理な事業を展開しないように監督する省庁として国土交通省も必要。
鉄道業は線路と車両だけで成り立つわけないんです。
光回線サービスとは?【光ファイバーだけでは成り立たない】
同じように光ファイバーをインターネット回線サービスとして社会のみんなが使いやすい形で成り立たせるには、以下のように多くの人と設備が必要です。
- 光ファイバーの台座となる電信柱(所有者はNTT東西か電力会社)
- 収容局という通信設備(所有者はNTT東西)
- クロージャーやコネクタといった光ファイバー周りの部品
- 光回線を契約している家の内部に取り付ける光コンセント
- ONU、無線LANルーター、LANケーブルといった屋内で使う機器
- そういった機器や設備を製造するメーカー
- 最先端の通信技術を研究開発するNTT
- プロバイダ(ネット接続事業者)
- ドコモやソフトバンクといった光回線のサービス提供者(営業やサポートも含む)
- 各種の工事業者(電信柱建設と配線系統では担当事業者が違ったりする)
- 光回線サービスの販売者(携帯ショップ、家電量販店、代理店)
- 通信業界の見張りや細かいルール策定を担当する総務省
つまり、光ファイバーというケーブルを実際に人間がインターネット回線として使いやすくした総体が光回線サービスです。
昔の光回線サービスはNTTが担う割合がもっと大きかったのですが、現在ではNTT以外の会社にも開放されてきています。
個人宅向けの光回線の月額料金が3000~6500円とそれなりの価格なのも、絡んでいる事業者が多くて、それぞれが利益をとっているからでもあります。
こういう多重の利益構造はほかの業界でもありますから、まあお互い様ですけどね。
月額料金はマンションよりも一戸建て住宅向けのほうが高いです。
光回線サービスの監視役として総務省が必要
日本で光回線サービスは多数の民間企業が参入しているように営利事業という側面もあります。
光回線の月額料金はそれなりの価格ですし長期間にわたって支払い続けますから、中には悪い業者が営利を不当に追求すべく消費者をだますこともあります。
そういった悪い業者を監督・指導したり、業界の健全化を図るためにも総務省が必要なわけ。
また光回線を完全なる営利事業にすると、人口が少ない地域に光回線を敷設するのは業者にとって損になりますが、光回線には公益性もありますから人口が少ない地域にもぼちぼちあります。
こういった通信分野の公共性に目を配るのも総務省の役割です。
光回線をもっと知りたい人向け記事
「自宅に光回線を引くとどうなるの?スマホ契約だけじゃダメなの?インターネット回線は光回線以外にも何かないの?光回線のメリットやデメリットは?」と思った人は以下の記事をご覧ください。