よさげなパソコンを適当に検索していると法人モデルが見つかることがよくありますよね。
法人モデルといってもいくつかタイプがあって一概に断定できませんが、この記事では個人モデルとの違いや法人モデルにありがちな特徴を紹介します。
私は自宅でDELLの法人向けPCを使っているため参考になるはずです。
メーカーにもよりますが、個人でも新品の法人パソコンは買うことはできます(一部に例外あり)。
ただし、個人は個人でも個人事業主という形で申し込むようにもとめているメーカーもあります。
中古市場でも法人からまとめて買い取った法人モデルPCはたくさん流通しており、中古PCは個人事業主などは関係なく普通に買うことができます。
タップできるもくじ
個人向けPCと法人向けPCの違い
個人向けPC | 法人向けPC | |
日本市場全体の新品PC売上 | 法人の売上を10とすると個人の売上は4~6くらい | |
耐久性とセキュリティ | 重視 | より重視 |
Windowsのエディション | Home | Pro |
組織的な設定や管理 | 適していない | 適している |
ベゼル(モニターの額縁部分) | 細め(カッコよさ優先) | 普通の太さ(耐久性優先) |
色 | 黒やシルバー以外も結構ある | 黒かシルバーが多い |
画質や音質 | 標準~高い | やや低い~標準 |
ノートパソコンのLTEへの対応 | あまりない | 結構ある |
ノートパソコンの指紋認証や顔認証 | どちらもついていない機種もある | どちらかはついている |
ITシステムとのセット購入割引 | 個人はITシステムを買わない | 割引される |
基本的な購入タイミング | 壊れる一歩前、あるいは壊れたら | 数年ごとのリース |
改造や拡張 | 自己責任で自由にできる | リースは改造・拡張しないのが基本 |
同じスペックの場合の新品価格 | ※後述 | |
新品PCの保証 | 購入後1年が基本 | 法人が法人PCを買うなら個人向けより長いが 個人が法人PCを買っても1年が基本 |
プリインストールの数 | 法人向けより多い | 少ない |
新製品の発売間隔 | 4~8か月 | 8~12か月 |
PCリサイクルマーク | ある | ない |
法人PCは耐久性重視
そもそも法人モデルというのは民間企業や役所で使うことを念頭に置いたパソコンを意味します。
そこでのパソコンの使い方は、文書(報告書、議事録、プレゼン資料、計画書)の作成、社内情報の共有、社内システムの運用、メール、売上・発注・納入・労務・顧客の管理などが多いでしょう。
要するに法人PCは堅苦しい使い方が多いのです。
そのため法人モデルのパソコンは耐久性とセキュリティを重視したものになっています。
もし法人が使うパソコンにトラブルが発生すると法人の活動、そしてそれらを利用する顧客・市民に悪影響をおよぼしてしまいます。
法人モデルが耐久性とセキュリティを重視するのは当然です。
たとえば最近の法人向けノートパソコンだと指紋センサーや静脈センサーがついているモデルが当たり前になりつつあります。
法人にはWindows11Proが向いている
セキュリティ重視の姿勢はOS(Windowsのような基本ソフト)の違いにも現れています。
というのもWindows11にはProとHomeの2つのエディションがあり、Homeは個人向けで、Proはビジネス向けの内容になっているのです。
Proのほうが各種の暗号化、情報漏えい対策、一元的な管理、パソコンの遠隔操作など組織人としてパソコンを運用するのに向いた仕様になっています。
個人のパソコンは個々人が適当に設定すればいいだけですが、法人のパソコンはシステムやユーザーの設定を一元的に管理できるほうが望ましいのです。
法人PCは地味
法人モデルの耐久性重視の姿勢はデザインにも現れています。
たとえばノートパソコンのデザインは個人向けだと薄型でオシャレなデザインが好まれますが、法人向けだと少し厚くて地味なモデルのほうが好まれます。
厚いモデルのほうが耐久性は高く、またバッテリーの駆動時間は長いなど実用的だからです。
Panasonicのレッツノートなんかは個人向けモデルだとしても厚めのつくりになっています。
たとえば上の画像はゲーミングPCといって高度なゲームをするのに適したパソコンであり、動作速度が優れています。本体もキーボードも光るタイプが多いです。
しかし「ゲーミングパソコンのような派手な外観デザインは娯楽感がまる出しで、職場や顧客対応の場に適していない」と思われやすいですから法人には売れません。たとえ中身は優れていたとしても。
そのため法人モデルの色・形は地味で耐久性を優先した形が多いです。
画質や音質にはこだわらない
法人モデルのパソコンは画質や音質は普通レベルであって、高画質・高音質のモデルはあまりありません。
職場や顧客対応の場に画質や音質が高いパソコンがあっても持ち腐れになる可能性が高いからです。
またノートパソコンの画質が高いとバッテリーの駆動時間が短くなるため、画質は標準レベルであるほうが実用的なのです。
まあ最近はオンライン会議も増えましたが、オンライン会議では画質や音質は標準レベルであれば困らないでしょう。
法人モデルのモニターは非光沢処理(ノングレア)が多いです。モニターは光沢処理(グレア)のほうが動画や画像がキレイに見えますが、長時間の使用だと目が疲れます。
職場では動画は見ない場合が多いですから、目が疲れにくい非光沢が好まれるのです。
余計なプリインストールがない
法人モデルのパソコンは機能面でも地味な傾向があります。
たとえば日本のパソコンメーカーの個人モデルだと、年賀状ソフトや簡単なゲームなどがプリインストールされている場合が多いもの。
しかし、法人モデルのパソコンは余計なソフトをつけない傾向にあります。
価格の違いはWindows HomeとProの違い
次は価格について。
WindowsはHomeよりもProのほうが数千円価格が高いため、パソコンを買うときは法人モデルのほうが高いと感じられるかもしれません。
しかし、法人向けPCはプリインストールの数が少ない分だけ安くできるともいえます。
Windows Proを搭載した機種であっても中古市場の価格はHomeを搭載した機種とあまり変わりません。
法人には大量購入による割引もある
一般に個人にとってパソコンは、1台を買ったら3年~8年くらい使って壊れかけたら次を買うという感じでしょう。
しかし、法人は一度に多くの台数を購入し、壊れる前に買取業者に流します(リースの場合も多々あり)。
また法人は社内だけで運用する情報システムをもっており、これはパソコンメーカー系列のグループ会社に発注する場合があります。
情報システムとは、文書、予算、労務、物品などの社内管理ソフトが典型です。
最近だと人工知能を導入する動きも活発化しています。
そうなるとパソコンメーカーは得意先に対して「パソコンを大量に買ってくれたし、うちの系列の情報システムも導入してくれたから割引しよう」と考えたりします。
また法人モデルのパソコンは購入当初では初期設定や納入先への説明、運用段階においてはメンテナンス、撤去時にはデータ削除や下取りなどが大量にあります。
パソコンメーカーは法人に対してそういったところもサポートしてくれます。
個人が法人モデルのパソコンを買えなくもありませんが、そのサポート範囲は法人よりも小さい傾向にあるとおぼえておきましょう。
新製品を出す間隔がやや長い
一般に各パソコンメーカーは個人向けの新型パソコンを「春モデル、夏モデル、秋冬モデル」という形で1年につき2~3回くらいを目安に発表します。
一方、法人モデルの新型パソコンはそれよりは発表の間隔をあけます。
個人に対してはきらびやかな形で「新製品を発売しました」と頻繁に宣伝するほうが売れやすいですが、法人にはそういう営業戦略は効きにくいからです。
PCリサイクルマークの違い
一般に個人向けのパソコンにはPCリサイクルマークが付いていますが、法人モデルにはついていません。
一方、法人モデルのパソコンは不要になったらパソコンメーカーや下取り業者に買い取ってもらう場合もあれば、産業廃棄物として業者に処理を委託する場合もあります。
法人モデルは企業によって事後処理が異なるため、PCリサイクルマークがついていないのが普通です(新品購入時にPCリサイクルマークの費用を負担しない)。
同じようなスペックのパソコンなのに法人モデルのほうが安い場合があるのはPCリサイクルマークの違いが反映されているところもあります。
個人が法人モデルを買えるか
おもな 法人向け機種 | 個人でも買えるか |
|
Lenovo | ThinkPad | 個人事業主なら買える(LenovoPROという店経由の購入) |
DELL | Vostro Latitude Precision |
個人事業主なら買える |
マウスコンピューター | MousePro | 個人でも買える |
HP | ProBook Elite |
個人でも買える |
Panasonic (パナソニック) |
Let's note | 個人事業主なら買える |
※たとえばDELLは個人モデルと法人モデルの機種名が違っています。しかし、Microsoftなどは機種名を個人モデルと同じにする形で法人モデルを発売しています。
※上記表にない大手メーカーは、個人が法人モデルを買えるかわかりませんでした。